日本緑化工学会誌
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論文
昭和前期における樹木治療法の継承および治療主体の変遷
兼村 星志大藪 崇司
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2010 年 36 巻 1 号 p. 57-62

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抄録

本研究は,1926 年から1945 年までの昭和前期における樹木治療法の継承および治療の実施を担った媒体あるいは主体の変遷,植物病院が1943 年に終了するまでの過程について,文献から調査を行い,樹木に関する社会背景を踏まえ考察した。その結果,樹木治療法は資料・文献により継続的に報告されるも,組織的な治療実施は行われなかったことが考察された。その背景には,用材に対する高い国内需要があり,学界にはその供給に資する研究成果の獲得が社会的に要請された社会情勢があった。そのため,商品価値の高い樹木の安定的な生産に資する研究が優先的に取り組まれた。しかし,樹木治療に対する関心や需要が拡大している今日において,樹木治療の技術やそれに関する研究成果は,多くの人にとって重要性を増しつつあるデータとなっており,それらの更なる蓄積および情報発信が期待される。

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