2011 年 37 巻 1 号 p. 127-130
富士山南麓において 6 年間にわたって採取した落葉広葉樹の種子の樹種,発芽率について報告する。6 年間で 45 樹種の種子が採取できた。多くの樹種で 6 年のうち複数年で採取が可能であった。主要構成種のブナ科高木では,ミズナラは隔年で採取できたがブナは 6 年間豊作年がなかった。採取した種のうち落葉樹 10種の種子の発芽率を屋外ポット試験にて測定した結果,既往文献と概ね同様の発芽率が得られた。同年採取でもサイズの大きい種子群の方が発芽率が高かった。採取できる樹種数や多寡には豊凶のほか気象条件の影響も考えられ,多様な樹種の導入には複数年にわたる計画性,継続性が重要であること,また種子採取の難しい樹種や採取適期の異なる樹種への対応が必要だと考えられた。