抄録
これまで日本緑化工学会斜面緑化部会では,斜面緑化技術を単に侵食防止を目的とした「緑化」ばかりではなく,自然景観の修復や自然生態系の回復など社会的要望の強い多様な緑化の実現,つまり法面防災と自然回復を兼ね備えた緑化を「自然回復緑化」として新しく位置付けするべく,議論の場を重ねてきた。しかし,緑化工事の現場では,自然回復緑化の普及は必ずしも順調に進んでいるとはいえない。今年2 月に行った公開シンポジウム「斜面緑化の過去・現在そして未来」では,多くの緑化工事で緑化目標が明確でなく,設計,施工,植生管理が連動していない,緑化工事の発注形態や成績判定方法などに自然回復緑化を普及させるための「しくみ」が整っていない,自然回復緑化は従前の法面保護工とは異なる枠組みでの位置付けが必要という課題があぶり出された。そこで今回の研究集会では,こうした中から法面における自然回復緑化施工後の植生管理の実態について,特に若手技術者から報告していただき,それらの報告から緑化目標設定のあり方について議論した。