日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝右葉頭側領域に存在した大型限局性結節性過形成に対し腹腔鏡補助下肝切除術を施行した1例
山中 潤一吉田 康彦藤元 治朗
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2010 年 71 巻 3 号 p. 796-800

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抄録

腹腔鏡肝切除の報告が増加しているが,肝右葉頭側の大型腫瘍に対し鏡視下アプローチを用いた肝切除の報告は少ない.今回肝S7,S8を占める径7cmの限局性結節性過形成(FNH)に対し,腹腔鏡補助下肝後区域および前背側区域切除を施行した症例を報告する.症例は36歳女性,近医で右肝腫瘍を指摘され紹介受診した.腹部造影CTで早期相から後期相まで濃染が持続する辺縁不整な腫瘍を認めた.生検で悪性を否定しえず,破裂の可能性もあり,患者自身が切除を希望したため,術前肝切除シミュレーションに基づき,手術を施行した.切除標本病理組織で線維性隔壁内に細胆管増生を認め,FNHと診断された.肝右葉頭側病変に対し鏡視下アプローチを用いた肝切除の欧文論文は13報告と未だ少ない.自験例は術後20カ月健存中で,3D画像支援による詳細な手術計画の立案により,低侵襲性と安全性を兼ね備えた腹腔鏡補助下肝切除術を完遂しうると考えられた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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