抄録
河川堤防の緑化にはシバが一面に張られることが多いが,そのような場所で生物多様性を復元あるいは創出するための手法についてはほとんど検討されていない。そこで,張芝地への在来種導入手法の有効性を検証するため,フィールドにおいて半自然草地構成種(スミレ,ツリガネニンジン,ワレモコウ,ノハラアザミ)をのり面緑化に用いられる切りシバの目地及び裸地に,播種及び苗の植栽によって導入し,2年間生育を観察した。播種よりも苗の植栽によって導入した個体の方がおしなべて生育個体率,草高,開花率が高かった。ノハラアザミは張芝区で裸地区よりも播種した個体の 2年間の生育個体率が高く,2年目の被度は両調査区で高かった。低茎種であるスミレの張芝区における生育個体率は,導入方法によらず 2年目にシバに被陰されて低下した。ツリガネニンジンは両調査区で発芽が見られなかった。張芝地への在来種の導入は,シバよりも草高が高くなる種については有効である。