日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
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ISSN-L : 0916-7439
40 巻, 1 号
1号
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論文
  • 香山 雅純
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 3-7
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    熊本県球磨村の大規模皆伐を行った地域にて,2006年 3月に植栽されたアカマツ,エゴノキ,エノキ,タブノキ,ヒサカキの成長と,成長に関わる土壌と葉内の養分濃度を分析した。測定は,肥沃な立地の谷部と,酸性かつ貧栄養な立地の斜面部に植栽された個体で行い比較した。アカマツ,タブノキ,ヒサカキは谷部と斜面部の間に成長の差はなかった。一方,エゴノキとエノキは斜面部の個体は有意に成長が悪かった。エゴノキとエノキは葉内窒素・リン・カルシウムが斜面部の個体で低く,これらの欠乏が成長の抑制に関与していると推察された。なお,気孔コンダクタンスはいずれの樹種も谷部と斜面部の個体間で有意な差がなく,成長抑制に対する水分ストレスの影響はなかった。
  • 中村 剛, 谷口 伸二, 大貫 真樹子, 藤原 宣夫
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 8-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    森林表土利用吹付工の長期的な植生遷移と,自然回復の効果を明らかにすることを目的として,京都府内の切土のり面において,森林表土を配合した植生基材吹付工を施工した。その後,施工当年から4 年後までの毎年と,施工12 年後に植生調査を実施し,自然回復の過程を評価した。初年度に成立した一年生草本群落から,チマキザサとススキ群落を経て,12 年後にはヌルデとアカマツの優占する木本群落が成立した。調査期間を通じて,木本類の種数が9 種から25 種に増えた。これにより周辺植生との類似度(QS)は0.27 から0.54 に増加した。また遷移度(DS)は267 から2716 に増加し,木本群落への遷移を示した。一方で,出現種数(S)と多様度指数(H')は,施工4 年後まで増加したが,その後大きな変化はみられなかった。これらの結果から,自然回復の評価方法として,SH'は,施工後4 年程度の初期において有効であり,その後の中長期の遷移に対しては,QSDSによる評価がより妥当であることが示唆された。
  • 安部 真生, 山田 晋, 根本 正之
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 14-19
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    河川堤防の緑化にはシバが一面に張られることが多いが,そのような場所で生物多様性を復元あるいは創出するための手法についてはほとんど検討されていない。そこで,張芝地への在来種導入手法の有効性を検証するため,フィールドにおいて半自然草地構成種(スミレ,ツリガネニンジン,ワレモコウ,ノハラアザミ)をのり面緑化に用いられる切りシバの目地及び裸地に,播種及び苗の植栽によって導入し,2年間生育を観察した。播種よりも苗の植栽によって導入した個体の方がおしなべて生育個体率,草高,開花率が高かった。ノハラアザミは張芝区で裸地区よりも播種した個体の 2年間の生育個体率が高く,2年目の被度は両調査区で高かった。低茎種であるスミレの張芝区における生育個体率は,導入方法によらず 2年目にシバに被陰されて低下した。ツリガネニンジンは両調査区で発芽が見られなかった。張芝地への在来種の導入は,シバよりも草高が高くなる種については有効である。
  • 黒沼 尊紀, 橋本 早織, 石原 竜彰, 吉岡 孝治, 渡辺 均
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 20-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,屋上緑化の芝地における CO2 固定能の定量化を行った。芝の炭素保持量に経過年数との関係は見られなかった。しかし,土壌の炭素保持量は経過年数の増加に伴い増加しており,0.107kg-C/m2・yr の炭素を固定していることが明らかとなった。土壌容水量は経過年数の増加に伴い増加し,雨水の流出遅延効果が向上していると考えられた。一方で,土壌重量も経過年数の増加に伴い増加しているため,経年的な荷重の増加を考慮した設計および施工管理が必要であると考えられた。
  • 岡田 憲和, 毛 惠平, 山中 典和, 吉川 賢, 王 林和, 張 国盛, 山本 福壽
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 25-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    中国内蒙古自治区の半乾燥地に位置する毛烏素砂地において Artemisia ordosicaCaragana korshinskii の水分生理特性と浸透調節能との関係を調べた。水分生理特性については夜明け前と日中のそれぞれの種の p-v曲線を作成するとともに,葉に含まれる浸透調節物質を分析した。A. ordosica は夜明け前に比べて日中の膨圧維持能力が高く,糖含有量も増加していた。C. korsinskii では膨圧維持能力,糖含有量とも夜明け前と日中の差はほとんどなかった。24時間の経時的変化では,A. ordosica の葉のスクロースの含有量と木部圧ポテンシャル間には負の相関関係が認められたが,C. korshinskii では認められなかった。このことから,A. ordosica は体内の水分状態の変化に対応した浸透調節能を有し,スクロースが浸透調節物質として重要な役割を果たしていることがわかった。
  • 宮崎 寛大, 岡田 憲和, 立石 麻紀子, 山本 福壽, 毛 惠平, 谷口 武士, 山中 典和
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 31-36
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    2013年 8月,中国内蒙古自治区のクブチ砂漠に植栽され,樹幹が埋砂した小葉楊(Populus simonii Carr.)の成長と葉の浸透調節能を調べるとともに,クロロフィル蛍光収率,および炭素安定同位体比を計測した。小葉楊の伸長成長と年輪の成長は埋砂が深くなるほど急速に増加した。葉の浸透調節に関わる糖アルコールの一種であるマンニトール,および 3種のベタイン(βアラニンベタイン,グリシンベタイン, γブチロベタイン)の含有量は埋砂された個体で顕著に増加した。この分析データは,斜面の埋砂環境に生育する個体は強い乾燥ストレス下に置かれていることを示している。以上の結果,埋砂は小葉楊の成長を顕著に促進すること,またこの樹種は乾燥ストレス環境で浸透調節物質を効率的に葉に集積する能力を持つことが明らかになった。
  • 宮崎 寛大, 岡田 憲和, 山本 福壽, 毛 惠平, 谷口 武士, 山中 典和
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 37-42
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    2013年,鳥取大学乾燥地研究センターにおいて小葉楊,銀白楊,および旱柳の 1年生挿し木苗を,0,50および 100%の埋砂環境で植栽し,成長への影響を調べた。この結果,いずれの樹種も 100%埋砂区で成長が急速に増加した。埋砂後,不定根の増加が認められたが,不定根形成に関わる幹のエチレン生成は小葉楊の苗木で埋砂 7日後に顕著に増加した。この結果から埋砂刺激はエチレン生成を通じて不定根形成を促すとともに,結果として苗木の成長促進を引き起こしている可能性がある。
  • 井上 美那, 中川 憲一, 谷口 武士, 山本 福壽, 山中 典和
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    津波による海岸林の塩害を軽減するためには,植栽可能な植物の耐塩性評価とその選抜が不可欠である。本研究では,海岸林へのタケ類導入の可能性を探る一環として,アジア熱帯地域原産のホウライチクに着目して海水による土壌冠水実験を行った。冠水時間が24,48,72 時間の冠水処理区と対照区を設定し,冠水後は経時的に個体の生存,葉の変色割合,葉数およびFv/Fm 比を測定した。結果として,冠水時間が長くなるほど影響は大きかったが,24 時間と48 時間の冠水では枯死した個体はなく,72 時間にわたる海水の冠水においても,5 個体中4 個体が生き残った。葉の変色割合,葉数,Fv/Fm 比でも,72 時間処理を除き,顕著な回復傾向がみられ,海水による土壌冠水に対し,強い耐性を示した。このことからホウライチクは,日本の西南域において,塩水の影響を受ける海岸林への導入や河口付近での緑化に適する植物であると考えられた。
  • 岩永 史子, 野口 よしの, 山本 福壽, AILIJIANG Maimaiti, 岡田 憲一, 山中 典和, 谷口 真吾
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 49-53
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    沖縄に自生するマングローブ樹種のうち塩腺を有するヒルギダマシと,有さないメヒルギの実生苗を0~4%の異なる塩濃度の水耕条件で 1か月育成し,生存率,成長,器官別 Na+ 濃度,葉内ベタイン濃度を測定した。両種ともに,塩処理による生存率と乾燥重量に有意な差が認められなかった。Na+濃度は 4%処理区のメヒルギの根で有意に高くなり, Na+ : K+比は胚軸と根で高くなった。一方, ヒルギダマシでは 2-4%処理区の Na+濃度と Na+ : K+比が全ての器官で増加した。塩処理濃度の増加に伴って, ヒルギダマシの葉内グリシンベタイン濃度の上昇が認められた。
  • 立石 麻紀子, AILIJIANG Maimaiti, 辻 将大, 井上 美那, 谷口 武士, 山本 福壽, 山中 典和
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 54-59
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    海岸林の塩害や海水浸漬ストレスが樹木に与える影響の経時変化を明らかにするために,タブノキ,アカマツ,クロマツの苗木を 24時間海水に漬けた後,被害の推移を 2ヶ月間観察した。被害程度は葉の変色度合いの目視による観察に加え,樹液流計測とクロロフィル蛍光収率測定を併せて行った。海水浸漬の被害はタブノキで最も早く現れ,90% 以上の葉で変色した。アカマツは 18日後に変色が発現し,38日後に 95% 以上の葉で変色した。クロマツでは 18日後に一部変色が生じたが,実験終了時点でも 60% 以上の針葉は変色しなかった。いずれの樹種も,樹液流速やクロロフィル蛍光が低下した後に葉の変色が現れていた。さらに,クロマツでは海水浸漬により樹液流速の減少やクロロフィル蛍光の低下が生じた後,回復傾向が見られたが,可視被害では回復傾向は観察されなかった。
  • 竹内 真一, 松田 藍, 西 由貴恵
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 60-65
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    移植木の活着に伴う樹液流動を精査するため,移植後のタイサンボク(Magnolia grandiflora L.) とシダレモミジ(Acer palmatum Thunb.) の樹幹部の樹液流動を改良型ヒートパルス法である HRMにより 2カ年に渡って測定した。タイサンボクの樹液流動は,7月下旬に最大値を示す自然木の樹液流と同様の季節変動を示し,経年的に樹液流動は上昇したことから,順調に活着していると判断された。また,樹幹内の速度分布は時間経過とともに外側が内側の流れを卓越する傾向が示された。シダレモミジでは,水はけを改善するための盛土への移植の効果を比較実験により検証した。その結果,盛土上の個体の樹液流動は 7月下旬に最大値を示す季節変動を示した。水はけが不良な土壌条件では,樹液流動が移植後に大きな変化を示すことなく,生育不良の様相を呈したが,盛土へ再移植したことにより樹液流は夏期に上昇した。さらに,移植木への灌水の効果について検証した。
  • 飯田 義彦, 今西 純一, 森本 幸裕
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 66-71
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    デジタル画像から抽出した色彩学的指標(L*a*b*)を用いて 2ヶ年におけるヤマザクラ 50個体の樹冠色変化を比較し,樹木の開芽特性について年による差異を検討した。集団内の L*a*b* の推移は現地観察による開芽進行過程とよく対応しており,開芽特性の個体差の把握に有効であることが示された。2010年と 2011年における L*a*b* の標準偏差推移の大きさとパターンは,タイムラグ日数で補正し両年を並べるとほぼ一致することが確認された。標準偏差の最大日において 2010年と 2011年の L*a*b* 値の順位を比較したところ,それぞれで高い相関がみられ,開芽進行過程に伴う樹冠色変化の早晩性は年によらず比較的安定した性質であることが示唆された。
  • 津田 その子, 小林 聡, 富田 基史, 阿部 聖哉, 松木 吏弓, 河津 かおり, 花井 隆晃, 鈴村 素弘, 守谷 栄樹, 藤井 義晴
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 72-77
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    緑化資材として地域性種苗の利用が推奨されているが,吹付工事に必要な在来草本の種子はほとんど流通しておらず,地域性区分も決まっていない。このため本研究では,在来草本の地域性区分の基礎的知見を得ることを目的に,緑化に使用可能と考えられる在来草本 10種を対象として,葉緑体 DNA上の 5領域 (約 3,500 bp) における種内変異とその地理的分布を調査した。ハプロタイプ分析の結果,カゼクサ,トダシバ,アシボソ,ヤマアワ,チガヤ,ネコハギの 6種では,全国規模で分布するコモンハプロタイプと地域的な偏りを示す複数のハプロタイプを併せ持っており,地域性区分の検討が必要であると示唆された。一方残り 4種は全国ほぼ均一で地域性が認められなかった。また,道路密度を指標の一つとし,この偏りに対する人為的影響の有無をアレリックリッチネスにより解析した結果,人の活動がハプロタイプの分布に影響を与えているとはいえないという結果が得られた。
  • 大野 拓也, 中島 敦司, 河野 仁美, 大南 真緒
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 78-83
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,地球温暖化がナンコウバイの開花,開芽フェノロジーにどのような変化を与えるのかを事象的に証明することを目的として,高温環境でナンコウバイの育成実験を行った。2011 年5 月10 日,6 月14 日,7 月19 日,8 月23 日に分けて,2 つの条件のグロースチャンバー(外気温区,3 ℃加温区)にナンコウバイを搬入した。その結果,2 年連続で加温区では全体的に開花,開芽時期が早まり,開花可能温度及び開芽可能温度の上昇があった。また,加温区において2011 年8 月,9 月頃に不時落葉する個体が発生し,これらでは2012 年の花芽数,開花数が減少した。以降の観測では,加温開始時期による開花,開芽フェノロジーの差異はなくなったが,加温区の一部の個体で2012 年の開芽,2013 年の開花,開芽が加温区の他の個体に比べて2 週間程度遅れた。
  • 島本 由麻, 鈴木 哲也
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 84-89
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    近年,地域資源の有効活用による植生基盤の構築・保全が推進されている。本研究では,もみ殻灰を有効利用した植生基盤材の開発を目的としている。このための基礎的検討として,接合材に酸化マグネシウムを使用し,もみ殻灰を混合した植生基盤材の力学特性を割裂試験により評価した結果を報告する。実験的検討では,もみ殻灰混入土(シリーズ MR)および未混入土(シリーズ M)において割裂試験を行い,破壊過程を AE 法および画像解析により詳細に評価した。検討の結果,シリーズ MR は AE 発生挙動にシリーズ M との差異が確認された。AE 法による SiGMA 解析および画像解析結果より,ひずみの局所化と AE の発生位置・形成モードに関係があることが示唆された。
  • 大塚 芳嵩, 那須 守, 高岡 由紀子, 金 侑映, 岩崎 寛
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 90-95
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    都市公園における利用行動と公園利用者の健康関連 QOL の関係を検証するため,東京都内の 6つの公園を対象に近隣住民に対してオンラインアンケート調査を実施した。利用行動の実施と公園環境,利用者の属性,健康状態のそれぞれを集計後に χ2 乗検定した結果,公園における利用行動は自然環境や施設の整備状況などの公園環境,性別や年齢層などの利用者の属性との間に有意な差がみられた。また,散歩や自然観察,会話は利用者の健康状態との間に有意な差がみられた。よって,利用行動は公園環境や利用者の属性によって規定され,一部の利用行動は利用者の健康増進に寄与する可能性があることが示された。
  • 那須 守, 大塚 芳嵩, 高岡 由紀子, 金 侑映, 岩崎 寛
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 96-101
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    住区基幹公園の環境価値形成における行動の影響を把握するために,東京区部の 6公園に対して住民意識調査を実施し,利用者の環境価値意識に関する構造化(SEMモデル)および心理的指標と経済的指標を用いた価値評価を実施した。その結果,SEM モデルから住区基幹公園に対する環境価値が行動の影響を強く受けることが明らかになり,利用者を分類した行動クラスターの比較から行動の多様化が環境価値を高めることが心理・経済的評価の両面において示唆された。地区公園と近隣公園を比較すると,この効果は公園の大きさに関係なく見られ,公園の価値を高めるためには,行動を多様化する質的配慮が有効であると考えられた。
  • 荒瀬 輝夫, 内田 泰三
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 102-107
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    新規造成されたビオトープでの動植物相の初期遷移について解明するため,面積約 250 -m2の水辺ビオトープを造成し,造成後 8年間 (2005~2012年) にわたって植物 (年 1回) ,鳥類およびトンボ類 (月 1回) を調査した。植生について,優占種は初期の雑草類から湿生植物へと変化した。低木層の侵入種数は経過年数と関連がなく,累積種数と出現種数は直線的に増加した。草本層の侵入種数は経過年数とともに減少し,累積種数は対数曲線によく適合し,出現種数は横ばいであった。鳥類は繁殖期 33種,越冬期 35種が確認され,草本層の植物と同様の種数の変化を示した。トンボ類は造成 2年目までに 16種が侵入し,その後の変化はなかった。種組成の類似度が半減する年限を求めたところ,植物では陸域 5~7年,水域 10~20年,鳥類では 30~60年,トンボ類では 40年と推定された。
  • 宮本 脩詩, 福井 亘
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 108-113
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    都市では,生態的ネットワークの形成が,重要視されている。しかし,その構成要素のうち,コリドーに関する研究は少なく,また調査地は郊外の大規模河川に集中している。よって,本研究では,京都市内を流れる琵琶湖疏水を対象に,鳥類と環境条件の調査を行うことで,疏水の生態的評価をした。その結果,都市性,森林・都市性鳥類は疏水に連続して密に分布し,水辺性鳥類は,疏水を生息地として,それに沿って分散して分布しているが,森林性鳥類は樹林地付近にしか確認されず,琵琶湖疏水が森林性鳥類にコリドーとして活用されていないことが分かった。ただし,住宅地内にありながらも,森林性鳥類が確認された樹林地付近の疏水部分の環境条件が今後のコリドー整備のための一つの参考になると考えられた。
  • 濱田 梓, 福井 亘, 水島 真
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 114-119
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    農村は貴重な生物生息空間のひとつであり,多様な生物が生息している。都市近郊の生物多様性を保全するために,農地の環境要因と生物の関係を把握することが重要である。そこで,里山に隣接した広沢池周辺の農村地域と,京都市南区,宇治市,久御山町にまたがる巨椋池干拓地を調査地として,農地の土地利用を GIS 化し,その形態と鳥類との関係を調査した。その結果,里山に隣接し,樹林地や畦畔草地などが含まれることで樹林性鳥類など様々な鳥類が飛来し,休耕田や開放水域など多様な土地利用が含まれることで鳥類の多様度が高まることが明らかとなった。
  • 森本 淳子, 濱本 菜央, 小南 遼, 三島 啓雄, 小川 健太
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 120-123
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    林野火災のリスク評価において,着火と延焼の原因となる地表燃料の定量化は重要である。林床にシダ植物が優占する森林で地表燃料の単位量と総量から林野火災リスクを推定することを研究の目的として,林床にコシダが優占する瀬戸内海地域の二次林で,林冠火災後の森林再生にともなう林床のシダ類と A0 層の乾燥重量の変化を調べた。火災履歴のない森林はどちらの評価方法でも最もリスクが高い結果となったが,火災履歴のある森林では両者の評価結果は異なった。単位量による評価では,経年とともにリスクが増したが,総量による評価では,より最近の火災ほど延焼面積が広く,再生林の連続性が高いためリスクが高くなった。火災リスク評価における景観構造の重要性が示唆された。
  • 森本 淳子, 梶原 一光, 志田 祐一郎
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 124-129
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    人工林の大規模風倒かく乱跡地における天然林再生において,風倒後に地拵えや風倒木搬出を行わない「倒木残置」は重要な効果を持つが,林冠の有無が林床の微細地形の物理環境や植物の定着に与える影響は未解明である。風倒かく乱を受けたトドマツ人工林において,5 種類の微細地形で環境変量および維管束植物種を調査し,林冠の有無が林床の微細地形上の環境と種組成に与える影響と,倒木残置することによるトドマツ・ミズナラ林の再生可能性を評価した。その結果,(1)風雨や日照が微細地形の物理環境に与える影響を林冠が緩和し,再生してくる植物の種組成に大きな変化をもたらすこと,(2)トドマツは倒木残置による天然更新が期待できるが,林冠が消失した場合はミズナラの天然更新は困難であること,が明らかとなった。
  • 山本 理恵, 小林 達明, 江幡 知紗, 篠崎 敬太, 小嶋 大地, 太田 祥子, 宮本 ウルルマ, 高橋 輝昌, 鈴木 弘行, 関崎 益夫 ...
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 130-135
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    福島第一原発事故被災地の丘陵地広葉樹林斜面で O 層の除去試験を行い,森林内の空間線量率と土壌放射能,森林外への放射性セシウムの流出の変化を調べた。 L-F 層除去区は 1m の高さの空間線量率が 73~76 %に低減した。 L-F-H 層除去区は 1m の高さの空間線量率が 47.7 %に,有機物土壌層―深さ 8cm までの鉱物土壌層に含まれる放射能が 13.7 %にそれぞれ減少した。 L-F-H 層除去区の土砂流出は著しく増え,処理直後の林床に存在した 137Cs に対して林床処理後約 5ヶ月間の流出率は 9.65 %となった。 L-F 層除去区の同流出率は 0.64~0.69 %で,対照区の 0.08 %より大きかった。林床処理を行った区から流出した 137Cs の 96 %以上はリターと土砂でありこれらは試験区末端に設けた柵によって堰き止められた。堰き止められずに森林外へ流出した 137Cs のうち植物に吸収されやすい溶存態の濃度は対照区で 9.5 Bq/L であるのに対し,L-F 層除去区で 3.6~6.5 Bq/L,L-F-H 層除去区で 2.1 Bq/Lと低減した。
  • 加藤 顕, 安藤 祐樹, 吉田 俊也, 梶原 康司, 本多 嘉明, 小林 達明
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 136-141
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    レーザースキャナーが身近に利用できるようになり,3 次元レーザーデータから樹木調査ができるようになってきた。本研究では北海道大学中川研究林において,様々な樹種構成のある22 箇所のプロットで簡易型地上レーザーを用いて3 次元データを取得し,得られたデータから森林簿作成に必要な樹高,胸高直径,枝下高,毎木位置図を作成した。本研究に用いた簡易型地上レーザーは半径50 m まで照射できるSICK LMS511 であり,市販されているレーザーセンサーの中で安価な製品の一つである。安価で可搬性に富む簡易型地上レーザーを用いた毎木調査法を確立するために,樹木測定精度を明らかにした。
  • 新井 隆介, 大窪 久美子
    原稿種別: 論文
    2014 年40 巻1 号 p. 142-147
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    岩手県では半自然草原群落が急速に減少しているため,本研究では残存する群落と過去の群落の種構成を比較することにより,半自然草原群落の適切な保全策について検討することを目的とした。その結果,残存する群落はススキ優占型MsI型とMsII型,シバ優占型ZjI型とZjII型の4 群落に分類された。過去に記録されたススキ群落は,本研究におけるシバ優占型の出現種と一部共通していた。過去のススキ群落の管理条件から,この群落の成立には春季の火入れと秋季の刈取り管理が重要であったと考えられた。さらに残存する群落では遷移進行が確認され,その保全には刈った草木を群落外に搬出する管理条件の改善が急務であると考えられた。
技術報告
  • 菖蒲 哲也, 岸野 和哉, 塚田 篤徳, 山田 守
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 151-154
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    北海道礼文島内の斜面緑化工事において埋土種子を含む表土を用いた植生基材注入工 (表土利用工) の植生モニタリング結果を報告する。調査地は,斜面勾配が急であること,寒冷地で植物の生育が遅いこと,国立公園内であり生物多様性に配慮し,外来種を用いた早期緑化が出来ないことなどから,植物生育基盤の耐侵食性が課題であった。この課題に対して,植生基材注入工を用いて長期間の生育基盤の安定を図っている。植生モニタリング結果では,植被率は緩慢ではあるが増加傾向にある。出現種は,施工後 2年7ヵ月経過している斜面では 32種を確認し在来草本が優占していた。課題として,外来種の割合が多いなどの課題が見られた。
  • 白川 一代, 簗瀬 知史, 谷内 繁
    2014 年40 巻1 号 p. 155-158
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    中部山岳国立公園内に位置する安房峠道路は,自然回復事業として建設当初に専門的な検討が行われた経緯があり,地域性苗木を用いて補植を行うこととなった。積雪寒冷地という厳しい条件で早期対応を求められる中,地域と連携して,プラグ苗の段階でのり面へと植栽し,現地にて養生を行いながら継続したモニタリングを実施している。プラグ苗植栽には課題が多く,施工から約2年の経緯と現状を検証した。その結果,種子採取から最短で 8カ月程度の生育期間で現地に植栽可能だが,現地で1本ずつ養生する必要があり養生材費用を含めると,通常の地域性苗木よりも 2割程度増額となり,施工する際には充分な検討が必要であることが分かった。
  • 佐藤 厚子, 山梨 高裕, 山田 充, 村田 陽子
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 159-162
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    北海道には泥炭が広く分布している。泥炭は高有機質,高含水であるためそのままの状態では土木材料として使用できない。この泥炭の性質を活用して,盛土のり面の緑化基盤材として利用することを考えた。これまで,試験施工を行いのり面の緑化基盤材として泥炭を有効利用できるかを検証してきた。今回,セメント系固化材により改良した材料による盛土ののり面に対して,泥炭を緑化基盤材として使用した場合と,使用しない場合で,草本を植え,植物の生育状況を観察した。試験施工の結果,施工から 3ヶ月間の調査では,泥炭を緑化基盤材として使用した場合,植物は十分生育し,改良土に対しても泥炭は緑化基盤材として十分効果があることを確認できた。
  • 山田 充, 山梨 高裕, 佐藤 厚子, 兵庫 利勇
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 163-166
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    のり面緑化工のうち無播種工法については,施工後の状況を事後調査することはあまり行われておらず,無播種工法の評価検討が十分に行われていない。本研究では,無播種工法により緑化施工を行ったのり面について,植生調査,およびのり面状況の確認を行った。その結果,一定ののり面保護効果を確認すると共に,経年的な緑化の進行,および外来種の優占状況を確認した。
  • 趙 賢一, 大場 達之, 高橋 健二, 山本 紀久, 佐藤 力, 森野 敏彰
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 167-170
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    積雪寒冷地北海道において,北海道らしい「緑」を効果的に演出していくための造園植栽材料の選定指針の策定を試みた。良好な生育が見込まれ,かつ修景機能を効果的に発揮することができる造園植栽材料を選定するために,自然・植栽分布や植栽実績などの情報から植栽可能な対象種を整理し,それらを土着性,本来的な生育地の植生タイプや土壌立地,見どころなどに着目して造園植栽材料を分類し,シートに整理し選定の指針とした。
  • 石垣 幸整, 堀江 直樹, 大嶺 聖
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 171-174
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    連続繊維補強土は砂質土にポリエステル繊維を均質に混合した補強土である。繊維の混合により,セメントを用いずに疑似的な粘着力が付与されるため,法面保護工として広く適用されている。連続繊維補強土の安定性向上のため,石灰系添加材を混合すると低い垂直応力下でせん断強度が増強され,粘着力が増加することが明らかになっている 3) 。本試験では,石灰系添加材を混合した連続繊維補強土の生育基盤としての適用性を確認した。さらに,石灰系添加材の補強効果について,一面せん断試験を実施し,セメントと比較した。試験の結果,石灰系添加材はセメントよりも植生への影響が軽微でありながら,その補強効果は同程度であることがわかった。
  • 飯田 義彦, 手代木 功基
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 175-178
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    山地谷頭斜面において樹木の根系の発達を規定する土壌硬度の把握は重要であるが,実測した事例は少ない。滋賀県高島市朽木地域の安曇川流域における谷頭部で SH 型貫入試験機を用いて斜面の土壌硬度分布を測定し,微地形との対応を検討した。軟らか度 S値が 4.0を超える層の層厚は上部谷壁斜面で大きかった。斜面中腹において,根系発達に阻害のない S値 1.5~4.0の層が厚くなる傾向が示唆された。
  • 田中 淳, 竹村 文, 田中 賢治, 大澤 学
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 179-182
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    国有林内の奥地荒廃地における緑化対策として実施されている航空緑化工について全国 26箇所について現地調査を実施した。現場全体の植生を大まかに捉える概査によって林地回復程度を評価するとともに,国有林 GISを活用して立地条件の整理を行った。航空緑化工において確実な林地回復を図るには,高標高地での適用に気をつけることや,土性に応じた施肥の実施などに配慮することが必要である。また,周辺植生に近い林地回復には 30年以上が必要であると判断された。
  • 佐藤 亜樹男, 簗瀬 知史, 中村 信治, 川九 邦雄, 中野 裕司
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 183-186
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    神奈川県の軟岩 (土丹) 切土法面に,苗木導入による早期樹林化復元を目的とした生育試験区を設定した。事前に植生・地質等の調査を行った後,7 樹種・6 工法全 253 本を植栽し,2 生育年経過後に樹高等を計測して一部 (38本) の根系堀取調査を実施した。その結果,生育は工法よりも地質状況 (DL 級岩や崩積土・根系浸入や水の吸収口となるクラックの有無等) により大きく左右されると考えられた。このため早期樹林化が予定される軟岩切土法面においては,植栽を考慮した地質状況の把握やその結果を踏まえた計画が望まれる。
  • 中野 裕司, 杉山 貴志, 立川 和法, 井上 亮太, 茅 洪新
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 187-190
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    石灰石採取跡地小段植栽に対し,資源循環型肥料分含有資材である下水コンポストを散布による追肥効果の確認,及び追肥の省力化のため最大散布量を確認した。結果,1 m2当たり 10 kgまでは窒素分過多による肥料焼けを発生させず散布可能であり,これ以上散布したとしても, 2年目までは肥料焼けを発生させるが枯死させる程ではなく,3年目から回復に向かうことが判明した。また,石灰石石礫に覆われた地表面に下水コンポストを散布することにより,周辺自然植生の侵入,及び生長を促し自然回復を速やかならしめることが判明した。
  • 小川 泰浩, 岡部 宏秋, 石森 良房, 西澤 敦彦, 広瀬 光一郎, 足利 陽史
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 191-194
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    三宅島雄山の山腹では,2000年噴火以降の継続的な火山ガス噴出により山腹の森林植生が深刻な被害をうけ,ほぼ全滅した。現在も季節風の風下の山腹では,火山ガスによって植生回復が遅れている。近年,火山ガス噴出量の大幅な減少とともに,ガス耐性のある草本や木本による植生回復が可能であることを,緑化試験によって実証した。この試験のなかで火山ガスの影響を受けた山腹斜面の侵食防止と緑化を同時に推進することが可能な環境保全型ロール資材 (東京クレセントロール®) を開発した。本論では,ロール資材開発の経緯と設置試験の概要を報告する。
  • 高橋 輝昌, 北村 健人, 平野 義勝, 平野 正男
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 195-198
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    雑草抑制に適した不要植物材由来の木質チップ材 (チップ材) の敷き均し方法について検討するため,様々な方法でチップ材の敷き均しを行い,3年後にチップ材の分解状況と施工後に侵入した植物の組成や現存量を比較した。敷き均しに使うチップ材の粒径,チップ材敷き均し後の砂散布の有無,敷き均し後の転圧の有無の組み合わせにより,6つの敷き均し方法が採られた。植物現存量が無施工 ( 裸地) と同等以下であったのは,細かいチップ材を用い,転圧して,砂散布を行う方法であった。この方法により,チップ材層の通気性が低下し,土壌生物によるチップ材の分解が抑制され,植物の生育が抑制されると考えられた。
  • 十河 潔司, 杉本 英夫
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 199-202
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    メガソーラー発電施設では,発電効率を保つために雑草対策は重要な課題となっている。施設特有の課題に対して有効な雑草抑制資材の 6種類を選定し,山間部の切盛造成地および臨海部の埋立地の 2か所で,その性能を検証する実証試験を実施した。調査では,2年間のモニタリングを行い,年間当りの刈込回数と刈草重量を測定した。その結果,防草シートは雑草がほとんど生えなかった。また,センチピードグラス改良種,コウライシバ改良種,木片コンクリートは,刈込回数と刈草重量が同程度で,砕石や土壌改良材に比べて優れていた。これらの結果を基に,メガソーラー事業期間中(25年間)の雑草対策費のライフサイクルコストを検討し,無対策と比較した場合の評価を行った。
  • 伊東 日向, 吉崎 真司
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 203-206
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    常緑広葉樹の塩水による根の浸漬に対する耐性を比較評価する目的で塩水浸漬下における生育実験を行った。常緑広葉樹の苗木および実生を塩水により水耕栽培し,植物体内の陽イオンの含有率の経時変化を測定した。各種の耐性は部位ごとの陽イオンの含有率を測定することで評価した。実験にはマサキ,ヒサカキ,シラカシ,ヒメユズリハを用いた。実験の結果,塩水による浸漬に対する耐性は沿岸域に生育する種が必ずしも高いとは評価できなかった。
  • 近藤 晃, 鈴木 拓馬, 伊藤 愛, 加藤 徹
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 207-210
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    フェロシアン化鉄 (プルシアンブルー (PB)) 施用が土壌からコナラ樹体への放射性セシウム (Cs) 移行に及ぼす影響を検討した。ワグネルポットを用い,Cs を含む土壌 1L 当たりPB0.1 g 土壌混合,PB1.0 g 土壌混合,PB1.0 g 土壌表面散布および無施用 (対照) の 4水準で 2年生コナラ苗を 1生育期間,灌水等に伴う Cs の系外流出がない閉鎖系で育苗した。その結果,PB 施用がコナラ苗木の成長に及ぼす短期的な影響は認められなかった。一方,根系を含むコナラ樹体全体に含まれる Cs 濃度は PB 施用区が対照区より低く,土壌からコナラ樹体への Cs 移行係数は, PB施用区が0.11~0.15で対照区より有意に低く,PB 施用が Cs 移行の低減化に有効であることが認められた。
  • 田中 賢治, 森 千夏, 山田 富市, 眞見 和樹
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 211-214
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    本報告は,新潟県内の海岸において埋土種子から発芽する海浜植物の生育の促進を目的として,植生基盤を砂浜に埋設し緑化試験を行ったものである。植物の栄養分として廃菌床,及び養分をコントロールする資材として有機酸によって未分解の有機物を養生することによって生産された人工腐植 1) を混合したバーク系資材(以下人工腐植と記す)の二つの資材を用い,その配合を変えた資材を一定の厚みを持って砂浜に埋設することで海浜植生の生育の変化を検証した。海浜に埋設する手法については,混合資材をそのままの状態で埋設する手法に加えて,麻等のバック状の形態とすることで植生の基盤として機能保持ができるか検証している。
  • 河野 修一, 江崎 次夫, 金 錫宇, 全 槿雨
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 215-218
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    タケの有効利用を図るために,タケチップとクラゲチップを基本にし,これに森林土壌,シイタケの廃ほだ,シイタケなどの廃菌床,木炭を混合したタケチップ土壌改良材を製造した。製造には森林土壌や廃ほだなどに含まれる細菌と糸状菌を活用した。その結果,細菌および糸状菌数とタケチップならびにクラゲチップ含有率との間に,正の高い相関関係が認められ,タケチップとクラゲチップを活用した土壌改良材の製造に森林土壌や廃ほだなどの微生物を利用する妥当性が実証された。その配合比率は,重量パ-セントで,タケチップ 15.6 %,森林土壌 31.3 %,廃ほだ 15.6 %,廃菌床 15.6 %,木炭 6.3 % およびクラゲチップ 15.6 % が最適であった。
  • 全 槿雨, 徐 正一, 江崎 次夫, 河野 修一
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 219-222
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    全国各地でモウソウチク,マダケやハチクなどのタケが繁殖しているが,その有効活用をはかるために,これらのタケチップとクラゲチップを基本にし,これに森林土壌,シイタケの廃ほだ,シイタケなどの廃菌床,木炭を混合したタケチップ土壌改良材を製造した。このタケチップ土壌改良材の有効性を検討するために,草本植物のなかでは比較的生育期間の短い冬野菜のアブラナ科のミズナを用いて生育実験を行った。その結果,乾物重量や発芽生育状況が無施用区に対して,有意な差を示し,その有効性が実証された。今後,タケの有効活用と共に,周辺環境に対する負荷の少ない緑化用資材としての利用が期待される。
  • 福井 亘, 西野 冴
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 223-226
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    京都市では,街路樹を街への景観活用とし,緑の生態回廊へ位置付けている。本技術報告は,京都中心部の主要通りにおける街路樹と鳥類との関係を探り,街路樹管理などへ活用するための基礎データ提供を目的とした。街路樹を GISデータベース化し,鳥類との関連性を探った結果,街路樹が散的な環境では鳥類の多様性が低くなり,反して,多様性が高いのは,都市内であっても樹種が階層的な混載箇所であることが明らかとなった。また,周辺緑地との近接性,緑被率に起因することも示され,街路樹植栽についての活用性を示すことができた。
  • 坂下 遥, 福井 亘
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 227-230
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    都市内農地は,都市緑地として市街地に貴重な緑地空間を保全してきたが,近年減少傾向にある。本報告は,高槻市中心部に残る都市内農地とその周辺における鳥類分布と周辺環境条件との関係を探り,都市内農地の生態学的な重要性を示すことを目的とした。GISを活用,調査した結果,水田や農地の面積と鳥類多様度との間に正の相関がみられたことから,都市内農地は鳥類の生息環境として重要な場所であることが明らかとなった。また,工場地や市街地,緑が少ない公園の面積と鳥類多様度や個体数,種数との間に負の相関がみられたことから,これらの面積が増えることによって鳥類の生息にふさわしくない環境となる可能性が示された。
  • 長嶋 大貴, 遠藤 直弥, 渋谷 圭助, 佐藤 澄仁
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 231-234
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    東京都の街路では高木と高木の間に中木を植栽する高木間植栽が行われているが,高木間植栽に適した中木樹種は明らかではない。高木間は高木や近接の建物などにより太陽光が遮光されているため,低日射条件に強い樹種が高木間植栽に適していると考えられる。低日射条件で高木間植栽の候補となる中木を栽培し,生育や観賞性を調査した結果,カラタネオガタマ ‘ポートワイン’ など 4樹種を高木間植栽に有望な樹種として選定した。
  • 辻 盛生, 佐々木 遙, 熊谷 吉則, 佐々木 理史
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 235-238
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    湿生植物であるカサスゲを薄層屋上緑化に用いた。その結果,対照区屋上面において夏期晴天時の正午には最高温度が約 60℃ に達し,平均では 36.8℃,熱流は-4.0 W/m2であった。陸生区,湿生区ともに,屋上面温度,熱流の日変動を減らし,平均で陸生区が 28.7℃,3.5 W/m2,湿生区が 26.3℃,9.4 W/m2であった。湿生区の消費水量は,最大で約 11 L/m2/dayであり,蒸発散による放熱効果が明らかになった。冬期晴天時の屋上面温度および熱流量の平均値は,対照区が-0.1℃,14.3 W/m2,陸生区が 5.8℃,11.6 W/m2,湿生区は 4.4℃,18.1 W/m2であった。夜間の温度低下を防ぐ効果が確認できたが,陸生区の保温効果が高かった。
  • 山田 麻亜子, 三島 孔明, 岩崎 寛
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 239-242
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    地域住民による公共緑地空間の病虫害管理の可能性を検討することを目的として行政に対して聞き取り調査を実施,また地域住民に対して質問紙調査及び視覚的判断調査を実施した。その結果,行政は病害虫の早期発見は望むが地域住民が参加することによる情報の混乱が発生するのではないかと懸念を抱いていること,また地域住民においても街の景観保全のために病虫害管理に参加への意識は高いが,病虫害に対する知識不足による不安があること,また視覚的判断調査よりウドンコ病においては正答率が 75 % と高いのに対して花腐菌核菌病,てんぐ巣病においては正答率が低いことが明らかとなった。
  • 屋祢下 亮, 北脇 優子, 猪熊 千恵
    2014 年40 巻1 号 p. 243-246
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    里山を模した人工林に林床植生を導入する際の計画手法を確立するために,関東近郊の林床植生を代表する春植物であるニリンソウ (Anemone flaccida Fr. Schm.) を対象として,荒川区立赤塚公園大門地区,および君津市君津グリーンセンターのニリンソウ自生地にて,2012年春に生育調査と気温,日射量の計測を実施した。赤塚公園では君津に比べて 2週間ほど早く萌芽し,以降も1~2週間ほど早く生育ステージが進んだ。また,計測した環境データを解析した結果,1,2月の月平均気温がニリンソウの展葉開始時期に影響を及ぼすこと,また,林床内に十分な日射量があるにも関わらず地上部が枯死することが明らかとなった。得られた結果より,春植物を導入する際に配慮すべき環境要素について考察した。
  • 古野 正章, 内田 泰三, 薛 竣桓
    原稿種別: 技術報告
    2014 年40 巻1 号 p. 247-250
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/18
    ジャーナル フリー
    都市域には,景観美等への配慮から多くの街路樹が植栽されている。さらに,同街路樹の植桝 (以下,街路樹空間) には植物の侵入もみられる。しかし,このような街路樹空間に侵入する種を都市生態系の一部として評価した報告はない。そこで筆者らは,都市の生物多様性保全における街路樹空間の役割について検討することを目的とした。本報ではその基礎として,福岡市中央区を対象に,街路樹空間に侵入する植物の抽出を行った。その結果,55科 125属 166種の植物が確認された。侵入種の多くが在来種からなり,また,草本類に加えて木本類も確認された。以上から,街路樹空間が都市の生物多様性保全で担う役割は少なくないと考えられた。
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