抄録
津波による海岸林の塩害を軽減するためには,植栽可能な植物の耐塩性評価とその選抜が不可欠である。本研究では,海岸林へのタケ類導入の可能性を探る一環として,アジア熱帯地域原産のホウライチクに着目して海水による土壌冠水実験を行った。冠水時間が24,48,72 時間の冠水処理区と対照区を設定し,冠水後は経時的に個体の生存,葉の変色割合,葉数およびFv/Fm 比を測定した。結果として,冠水時間が長くなるほど影響は大きかったが,24 時間と48 時間の冠水では枯死した個体はなく,72 時間にわたる海水の冠水においても,5 個体中4 個体が生き残った。葉の変色割合,葉数,Fv/Fm 比でも,72 時間処理を除き,顕著な回復傾向がみられ,海水による土壌冠水に対し,強い耐性を示した。このことからホウライチクは,日本の西南域において,塩水の影響を受ける海岸林への導入や河口付近での緑化に適する植物であると考えられた。