日本緑化工学会誌
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特集「外来種と植生管理」 国道 9号鳥取バイパスに植栽された街路樹ニワウルシ (Ailanthus altissima (Mill.) Swingle) の逸出状況と種特性から見た侵略性の評価
日置 佳之高田 真徳
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2014 年 40 巻 2 号 p. 302-314

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抄録

ニワウルシ (Ailanthus altissima (Mill.) Swingle) は,雌雄異株で,風散布に適した翼果を多数付ける中国北部から中部原産の落葉高木である。同種は日本でも街路樹としても多用されており,空き地,河川敷等において野生化している。また,海外では自生地外への分布拡大や生態系への影響が報告されているが,わが国においては侵略性の観点からの研究はほとんど行われていない。そこで,本研究では,鳥取市内の国道 9号線に街路樹として植栽された同種の逸出状況を把握するとともに,種特性から見た侵略性評価を行うことを目的とした。逸出状況については,国道 9号鳥取バイパス及びその周辺約 202 haを対象として, DGPSを用いてニワウルシの位置情報を取得し,樹高,幹周り,萌芽の有無,逸出環境を街路樹と逸出株に区別して記録した。また,侵略性については,上記の調査結果と既存文献に基づき,外来種の導入の可否を判定する Pheloungのモデル及び導入後の外来植物の侵略性を判定する John & Lindaのモデルを用いて評価した。その結果,1)ニワウルシは街路樹から逸出した個体を母樹としてとくに風下側に分布を拡大していると推定された。2)地上部のみ刈取りされている逸出株は,管理が不十分な期間に生長し,種子散布や横走根の生長によって更なる分布拡大のもととなる恐れがある。3) 2つの外来種評価モデルを用いて侵略性を評価した結果,ニワウルシは高い侵略性を持つことが示唆された。

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