日本緑化工学会誌
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論文
オオハンゴンソウの播種から開花までの期間および生育に及ぼす刈り取りの影響
近藤 哲也鄭 亜紀子石垣 春
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2015 年 40 巻 4 号 p. 555-563

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抄録

刈り取りによるオオハンゴンソウの駆除の可能性を検討するために,刈り取りがオオハンゴンソウの生育に及ぼす影響を調査した。実生個体を植木鉢で育成し,播種から開花までの期間を明らかにするとともに,時期と頻度が異なる 8つの刈り取り区を設けて,草高,茎数,開花個体率,個体当りの開花数に及ぼす影響を調査した。春からの生育は前年に蓄積した地下部の現存量に大きく影響されるため,冬前の 11月末に全ての刈り取り区での地上部と地下部の乾物重を測定し,比較した。オオハンゴンソウは,播種から開花までに 2年を要した。無刈では,播種後 2年目には草高が 118 cmに達して全ての個体が開花し,平均 11個の花を着けた。開花と結実を抑制して,実生による更新を防ぐためには,年に 2回,6+8月末の刈り取りが確実であった。年 3回, 6+8+10月末に刈り取ってもオオハンゴンソウの地下部を消耗させることはできなかった。本実験の結果の範囲からは,オオハンゴンソウを刈り取りのみによって駆除することは困難であると結論づけられた。そのため,実際の管理方策としては,まず刈り取りによって広範囲での開花・結実を抑制し,同時に可能な範囲で抜き取りによる除去を行うことが適切であると考えられた。

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