キンランはコナラ二次林でみられる地生ランであるが,生育地の開発等によって個体数が減少し,絶滅危惧 II 類に指定されている。近年,埋立地のマテバシイ等の郷土種を用いた植栽林でも生育が確認されており,埋立地がキンランの生育域外保全地として利用できる可能性がある。埋立地にて野外播種試験法を用いてキンランを繁殖させる試みを行ったところ,キンランの生育の有無に関わらず,マテバシイやスダジイ,アラカシ等のブナ科の樹木の付近では種子が発芽することが確認された。約10ヶ月間で,胚が成長しプロトコームを形成するまでの過程が観察された。