2015 年 41 巻 1 号 p. 56-61
中国内蒙古自治区の毛烏素沙地において,緑化植物である落葉半灌木 Artemisia ordosica Krasch.の群落構造に,同じ固定砂丘上に分布する匍匐性針葉樹 Juniperus sabina L.と土壌表層の環境条件が与える影響について調査を行った。固定砂丘上の群落に調査区を設置し,株密度,株位置,株サイズ,結実状況を調査し,表層土壌の環境条件を測定した。その結果,両種は排他的な分布をしており,土壌表層の養分量が多く J. sabina と近い場所では群落の株密度と合計樹冠投影面積は小さい傾向があった。したがって,固定砂丘上では土壌表層の養分条件の差異よりも,J. sabina との資源を巡る競合が A. ordosica 群落に影響する可能性が示唆された。