日本緑化工学会誌
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総説
特集「防災緑化と土砂災害」
減災の観点から樹木根系を非破壊的に推定する地中レーダ法の現状と課題
平野 恭弘山瀬 敬太郎谷川 東子檀浦 正子大橋 瑞江藤堂 千景池野 英利
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2015 年 41 巻 2 号 p. 319-325

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抄録

山地における土砂災害や海岸林における津波災害などの被害を最小限に抑えるために,樹木根系の広がりを評価する必要がある。本論文では,非破壊的に樹木根系を推定する方法として近年導入されつつある地中レーダ法について,樹木根の検出,根系構造や根バイオマスの推定に関する国内外の実験的研究および野外への応用的研究などの知見を整理した。地中レーダを用いた樹木根検出では,土壌と根の水分量,根に対するレーダの探査方向,検出目的に応じた周波数や解析方法の検討が必要である。国際的には砂質土壌に生育する森林において地中レーダ法が活用されており,特定の立地条件での根バイオマスや根系分布が明らかにされている。国内森林へ適用する際に解決すべき課題として,地中レーダを用いた根系構造推定から根の緊縛力推定への必要性,急峻地形を考慮した斜面や森林土壌の異質性などが根の検出に与える影響を明らかにする必要性を提案した。

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