下層植生タイプの違いによる表土流亡の抑制効果を明らかにするために,岐阜県中部にあるミヤコザサが優占するヒノキ林林床において表土 (細土,礫,リター) 移動量を計測し,他タイプの植生の表土移動量と比較した。調査地の表土移動量は 79.4g m-1年-1で,表土流亡の抑制効果が高い他の植生タイプと同等に少なかった。ミヤコザサ群落の地上部現存量や植被率は,様々な植生タイプでこれまでに計測されたそれらと比較して大きかった。植被率は 7月に高く, 1月に低かった。細土の移動は 12月~翌 4月に,リターの移動は 12月~翌 5月に多い傾向がみられた。植被率の変化が表土移動量の季節変動に影響した可能性がある。ミヤコザサは被度が高いこと,稈が高密度で叢生すること,現存量が大きいことから,表土流亡の高い抑制効果が期待できると考えられた。