本研究では,26個所の表土利用工施工地と25個所の自然侵入促進工施工地を対象に調査記録を整理して,この二つの施工方法の植生回復効果を比較した。全ての施工地で,記録された植被率の経時変化を基に植被率が50 %に達する施工後の月数(mc50)を求めた結果,自然侵入促進工のmc50は表土利用工に比べて有意に短かった。これは適用される立地条件や工法構造の違いに起因する可能性がある。またmc50と,立地条件に関わる各環境要因を比較した結果,mc50に大きな影響を与える環境要因は認められなかった。群落高の経時変化を比較した結果,表土利用工で群落高が速やかに増加し,より早期に樹林が形成されることが示唆された。