日本緑化工学会誌
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技術報告
埋立地の植栽林における野外播種試験法によるクゲヌマラン(Cephalanthera longifolia (L.) Frisch)の種子発芽および初期成長の観察
伊藤 彩乃庄司 顕則赤崎 洋哉松前 満宏山崎 旬遊川 知久
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2017 年 43 巻 1 号 p. 347-350

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抄録

クゲヌマランは海岸のマツ林などに自生するとされる絶滅危惧種であるが,近年,埋立地などを中心に個体数が増加している。しかし,その生態については不明な点が多く,保全対策の検討が困難である。そこで,埋立地のシラカシ・タブノキ植栽林のクゲヌマラン群生地で野外播種試験を行い,クゲヌマランの種子発芽と初期成長を観察した。その結果,播種後 1年で 20 %近くの発芽率が確認され,複数の根が伸長し,長さ 3 cmまで成長した個体もみられた。同地で試験を行っているキンランと比較し,成長が早かった。埋立地の樹林環境が本種の発芽・成長に適していることから,都市部の植栽林がクゲヌマランの保全に貢献していると考えられる。

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