日本緑化工学会誌
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43 巻, 1 号
1号
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論文
  • 小宅 由似, 今西 純一, 石原 一哉, 小倉 功, 柴田 昌三
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 3-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    10年以上にわたり定期的に下草刈り取りが実施されている盛土法面に出現する植物の特徴を調査した。種多様性や遷移度に対する刈り取り頻度の差の影響は確認されなかった。上層木の植被率が高い法面において林床層のつる性植物の植被率が高く,また鳥散布種も多く確認され,上層木を鳥が利用することで鳥散布種の導入機会が増加し,その中でも刈り取りに耐えるつる性植物が定着しやすい傾向にあることが示唆された。上層木が存在する法面において,下草刈り取りを実施する場合には,つる性植物を抑制するため,上層木の植被率を低下させ,高い位置での刈り取りを行うといった工夫の必要性が考えられた。
  • 小林 亮太郎, 小澤 修, 多賀谷 宏三
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 9-14
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    火力発電所から排出される石炭灰のリサイクル資材を安定剤として用いた植生基材吹付工 14) において,石炭灰が基礎工の代わりとして発揮する地盤工学的安定メカニズムの研究を行った。研究方法は以下の 4つである。 1) 破壊メカニズムを分類した 2) 力学特性を把握するための三軸圧縮試験を行った 3) 破壊メカニズムを解明するための水平引張試験を行った 4) 滑動現象を数値化して評価した。力学特性試験の三軸圧縮試験 (UU試験) において,材齢 1日で粘着力 C=5.2×10-3N/mm2,せん断抵抗角φ =19.2°,材齢 5日で C=23×10-3N/mm2,φ=26.4°の結果を得た。水平引張試験においては,摩擦抵抗力は,材齢,0日で 2.27~4.42×10-4N/mm2,材齢 14日で 3.50~6.91×10-4N/mm2の結果を得た。さらに,力学特性試験の結果と,代表的な文献より得られた地盤定数を使用して,安定性の検討を行った。以上の結果より,地山が安定していれば 1: 0.6 勾配までの斜面に対して緑化基礎工が無くとも滑動せず安定していることが示唆された。
  • 宗岡 寿美, 菅原 大貴, 山崎 由理, 木村 賢人, 辻 修
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 15-20
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    客土種子吹付工を想定して作製された 2種類の外来草本植物の根系を含む土供試体の一面せん断試験を実施した。法面方位の違いにより土供試体中の含水比は大きく異なり,強度定数(粘着力c・せん断抵抗角φ) に影響を及ぼしていた。土供試体内に根系を含むと粘着力c のみが増大し,粘着力 は平地(勾配 0°) で最大値を示した。トールフェスク(Festuca arundinacea Schreb.) はハードフェスク(Festuca longifolia Thuill.) よりも生育が良好であり,土供試体中の粘着力c はつねに大きかった。また,土供試体内に根系を含むことによる粘着力c の増加量 Δc,および粘着力c を根長密度で除した値は,2種類とも法面方位の違いにかかわらず同程度であった。
  • 山岸 裕, 畠瀬 頼子, 舟久保 敏
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 21-26
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    アレチウリ,オオブタクサ,オオキンケイギク,オオハンゴンソウ,シナダレスズメガヤが生育している全国の6河川(北上川,荒川,鬼怒川,多摩川,木曽川,吉野川)を対象として,生育箇所周辺における植生調査及び土壌の採取を行った。さらに採取した土壌の撒きだし実験を行った。また,実験で発芽がみられたオオカワヂシャについても分析した。その結果,オオハンゴンソウを除く 5種で,撒きだし 2年目にも発芽が確認され,永続的土壌シードバンクの形成が示唆された。また,シナダレスズメガヤ,オオカワヂシャでは,地上部に生育が確認されなかった箇所でも実生発芽が多数見られ,種子散布が進んでいることが分かった。
  • 丹羽 英之, 阿部 惣
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 27-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    宝が池公園の森林では,既にナンキンハゼが侵入し,伐採活動が始まっているが,防除活動は計画的に進める必要があるためナンキンハゼの現況を調査した。森林内だけではなく周辺街区も含めナンキンハゼの分布と結実を調査し,森林で 2,771個体うち結実1個体,周辺街区で66個体うち結実41個体のナンキンハゼを確認した。種子生産の可能性が高い個体の密度から,防除する優先度が高い場所を抽出することができた。ナンキンハゼの分布確率を最も高めるのは結実個体からの距離であり,谷でギャップが形成されている場所が侵入適地だと考えられた。シナリオ分析により,伐採すると森林内の分布確率を下げられる個体を特定することができた。
  • 辻 真弥, 日置 佳之
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 33-38
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    生態系被害防止外来種リスト等は,主に植物の専門家の知見によって作成されてきた。しかし,情報収集や議論に時間を要しており,迅速な外来種対策のためには評価の簡便化が求められる。そこで,情報の入手が比較的容易な種特性を点数化する評価モデルを試作した。日本に生育する50種を,試作モデルと,Pheloungのモデル・John & Lindaのモデルで評価したところ,結果に高い正の相関が見られた。また,生態系被害防止外来種リスト掲載種の全200種を評価した結果,特定外来生物16種を含む48種を「侵略性が著しく高い種」として抽出できた。しかし,13種は「侵略性がない種」として判定され,これらの種にも対応できるような改良が求められる。
  • 山田 晋, 根本 正之
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    裸地の出現するタイミングは,裸地化した後に成立する植物群落の種構成に影響を及ぼす。望ましい植生への効率的な誘導に資する知見を得るため,河川高水敷において 3月,6月,9月に創出した裸地で,その後の植生を 3年間追跡した。裸地の出現時期は,その後の成立植生における生活史別の出現種数や被度に有意差をもたらした。 6月に裸地が形成されるとチガヤの優占化が進む一方,3月および 9月に裸地が形成されると,チガヤ被度は低く,代わってセイタカアワダチソウの被度が高まった。裸地の形成時期に応じて異なる裸地形成直後の飛来種子や発芽可能な種の種構成が,こうした差異をもたらす一因と考えられた。
  • 大澤 啓志, 内野 沙織
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 45-50
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    仙台平野の2011年に被災した海岸林においてカワラナデシコの大規模攪乱への適応能を考察するため,異なる土壌攪乱強度の立地別での生育実態を調査した。3条件区に1 m2 の方形区を5箇所ずつ設置し,2015・2016年の夏季に株密度を算出した。表土流出区は平均90~96株/m2 であり,表土残存区及び基盤土流出区に対し有意に高かった。この表土流出区では開花株や幼個体も多かった。また,さらに強度の攪乱が生じた基盤土流出区は現時点では株密度は低いものの,増加の兆候が認められた。本種は表土攪乱に対する耐性のみならず,それを積極的な個体数増加の契機にしていると考えられた。
  • 佐々木 剛, 丹羽 英之, 朝波 史香, 鎌田 磨人
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 51-55
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    徳島県の海岸マツ林において,小型無人航空機(UAV) から取得した画像をもとに Structure from Motion(SfM)を用いて林冠高モデルを作成し,マツ林の持続的管理にとって重要な林床の光環境を表す指数の推定を試みた。現地調査で取得した全天写真から求めた開空度が,UAVデータから高い精度で推定された。特に,開空度が30 %を超えるプロットの多くではサイズの大きなギャップが抽出され,マツの生育に適した明るい場所が抽出可能であることが示唆された。
  • 吉崎 真司, 長島 大輔, 清水 亜里沙
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 56-61
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    飛砂害が激しい神奈川県湘南海岸において,砂防柵設置による微地形と風環境の変化が飛砂害に及ぼす影響を把握するために,2008年と 2014年に微地形 風環境 (風向・風速) ,飛砂量等の調査を行った。その結果,飛砂害の発生要因として,砂移動の障害となる砂防柵や植生の有無,防風柵の設置位置による減風域の範囲や微地形の変化が考えられ,これらが相互に関連し合う結果,自転車道への堆砂量 (飛砂害) にも影響を与えることがわかった。本研究の結果は,自転車道への飛砂害を制御し,背後の海岸防災林内への飛砂の侵入を抑制するとともに飛砂や潮風から樹木を健全に維持するなど,海岸防災林の維持・管理にとっても重要な示唆を与えるものと考えられた。
  • 宮崎 直美, 三浦 華織, 平田 昌弘
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 62-67
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    都市域の人工林の再生過程を把握するため, 植栽後33年が経過した落葉広葉樹林, 常緑針葉樹林および針広混交林に区分される植栽地で, 同地に定着した在来草本・木本の分布と林分タイプとの関係を検討した。年間を通して暗い光環境である常緑針葉樹林および針広混交林の針葉樹が多い場所では, 林床でミヤコザサなどの特定の種が単独で優占しにくく, 多くの在来草本・木本種の定着がみられた。春に明るい光環境である落葉広葉樹林および針広混交林の広葉樹が多い場所等では, 林床でミヤコザサが単独で優占し, 草本植物のオオバナノエンレイソウおよびユキザサは定着できる可能性が考えられた。一方, 木本植物は定着が阻害された可能性が考えられた。
  • 田端 敬三, 鈴木 雄也, 奥村 博司, 阿部 進
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 68-73
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    都市近郊二次林の低木層の主要構成種であるムラサキシキブ (Callicarpa japonica) の開花に適した環境条件を明らかにすることを目的として,本種の開花状況を調査し,複数の影響要因 (対象個体サイズ,周辺木との競争関係,生育地点の地形条件および土壌理化学性) との関連性を検討した。その結果,対象個体のサイズ,周辺競争木との胸高断面積相対比の総和,生育地点の傾斜角度が開花に影響していた。開花の有無を目的変数とする一般化線形モデルでは,予測精度上位2つのいずれのモデルにおいても,半径4 m 範囲内の常緑性の競争木との胸高断面積相対比の総和が説明変数として選択され,本種の開花には,半径4 m 範囲内に位置する常緑性の競争木密度が最も強く影響していることが示唆された。
  • 東口 涼, 柴田 昌三
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 74-79
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    摘要:京都市北部において 2000年代にチュウゴクザサの一斉開花・枯死が起きたが,発生した実生がニホンジカによる高い採食圧を受けることで,群落再生が阻害される可能性が指摘されていた。本研究では 2007年に開花し,継続的な採食を受け続けた群落の再生過程を追跡調査した。また防鹿柵によって実験的にシカを排除し,柵内外で実生の成長をモニタリングすることで,一斉開花後の再生過程におけるシカ採食圧の影響を明らかにした。その結果,継続的採食下では個体サイズが矮小であり,群落が衰退していたことがわかった。加えて,自然下では採食圧が大きな再生阻害要因となっており,これを排除することがササ群落の再生を促進することが示された。
  • 長島 啓子
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 80-85
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,シカの食害環境下にある都市近郊のナラ枯れ被害林分の更新の可能性を把握するため,実生の発生とそれを規定する要因を防鹿ネットの有無やプロット位置などとの関係から把握した。防鹿ネットは個体数の増加に寄与していたが,種数や種組成には影響していなかった。種組成はプロットの位置や開空度に影響を受けており,斜面中部から下部に設置した方形区内の開空度が低い上部から中部のプロットでは,ソヨゴなどのマツ枯れ低質林と同様の植生が形成される可能性が示唆された。一方,明るい下部プロットには先駆種とともにコナラの実生が見られ,防鹿ネットを設置することでアベマキやコナラの再生を促進することが期待された。
  • 矢動丸 琴子, 中村 勝, 岩崎 寛
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 86-91
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    近年,ストレスチェック制度が義務化され,職場におけるストレス対策が重要となってきている。その対策の1つとして,オフィス緑化が注目されている。そこで,本研究では,オフィス緑化が勤務者の心理に与える影響について,業種や職種の違いにより効果に差が見られるのか検証を試みた。その結果,業種や職種のみでは,効果に目立った差は見られなかったが,業種と職種を組み合わせた場合には一部で「仕事・職場に対する評価」や「気分・感情状態に対する評価」に異なる傾向が見られた。また,植物設置に対する反応も異なる傾向が見られた。その要因として,仕事内容に加え,植物に対する印象やストレスの種類等が考えられた。
  • 小田 龍聖, 脱 穎, 深町 加津枝, 柴田 昌三
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 92-96
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は都市部の貴重な自然環境として住宅地を流れる河川に注目し,より良い河川環境の在り方を検討するために,地域住民の河川空間に対する選好性を調査した。調査はアンケートを用い,住民が好む空間についての記述をテキストマイニングによって分析した。河川の空間構造は住民の好む理由によって「未整備でホタルや民家のある空間」「整備され親水設備のある空間」「観光地化され遊歩道や桜のある空間」の 3つのグループに分類された。一方で,好まれる要素を揃えても,視界を遮るような植栽や私設橋,中高層建築と言った周辺空間の要素によって評価が下がり得ることが示唆された。
  • 七海 絵里香, 大澤 啓志
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 97-102
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    万葉集及び勅撰和歌集において松が詠まれた歌からその生育立地の推定を行い,年代毎の変遷を明らかにした。計 22集の和歌集には 1,493歌で松が詠まれており,内 1,147歌(77 %) で生育立地の特定が可能であった。生育立地は臨海部が 22~35 %と変動しつつも概ね一定の割合を占めており,中でも海浜のクロマツ林を詠んだものが多かった。本格的な海浜域での造林が始まる以前より,クロマツ林が広く存在し,その植生景観に価値が置かれてきたことが示された。内陸部は年代が下るにつれて割合が増加し,1200年代以降は浜以上の割合で山の松が詠まれるようになった。これは山に関連する用語の種類の多様化,「名もなき山」や「聴覚としての山の松」の嗜好の広がりによるものと考えられた。
  • ダーラン モハマド ザイニ, 深町 加津枝, 柴田 昌三, 今西 純一
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 103-108
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究はインドネシアの Ciomas 村における 33箇所の自然聖地である kabuyutan の生物多様性ホットスポットとしての重要性を明らかにすることを目的とした。深層インタビューや参与観察を通した民族植物学のアプローチおよび植生調査により,対象地の植物種を明らかにした。合計 332種の植物が確認され,そのうち 38.5%が kabuyutan に分布した。生物多様性ホットスポットとしての重要性が示された一方,半数が外来種となり,絶滅の恐れのある種もあった。予防的な措置により,外来種を取り除き,住民が伝統儀式の中で外来種を植栽しないといった対策を進める必要がある。その上では, kabuyutan の管理者が環境保全と地域性に関して持続可能な知識の共有が求められる。
  • 竹内 真一, 杉尾 良隆, 篠崎 圭太郎, 松島 大樹, 飯田 真一
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 109-114
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    ヒートレシオ(HR)法による樹液流量の定量評価を目的として,根鉢の状態で生育管理する樹体の重量変化に基づいて蒸散量が評価可能な根鉢秤量法を考案し,シダレモミジに適用した。2年間にわたってキャリブレーションを実施した結果,HR法によるヒートパルス速度と蒸散量の間には高い相関関係が存在し,低流速の場合は一次式,高流速の場合は二次式により,高精度に日樹液流量が算定可能であることが示された。さらに,2年間で樹液流量は増加傾向を示した。根系への損傷を低減するように注意して根鉢を作成すれば,根鉢秤量法は樹体を枯死させることなく蒸散量が評価可能であり,樹液流速測定法のキャリブレーション方法として有効である。
  • 松岡 達也, 土屋 一彬, 大黒 俊哉
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 115-120
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    セダム類の CAM 化は蒸発散量に影響を与え,その程度は種によって異なる。本研究では,複数のセダム類(Sedum album, Sedum kamtschaticum, Sedum reflexum) について,非破壊的手法を用いて CAM 化の程度を測定し,同時に蒸発散量を測定することで,生理学的特性と熱環境の改善効果との関連性を検討することを目的とした。潅水後長期間の蒸発散量は CAM 化の進行に伴って減少した。葉重量比の高い種では潅水後短期間の蒸発散量が多く,結果として高い水分保持量を示した。得られた結果より,セダム類の単位重量あたりの合計蒸発散量は,CAM 化の程度と葉重量比の両方に依存して変化すると結論した。
  • 小島 倫直
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 121-126
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    植物生長速度の評価指標である植物光合成速度の予測手法は,建物緑化など都市緑化計画への応用が期待できる。低照度や高温低湿度など環境ストレス下にある植物の光合成速度予測は,光合成速度モデルと気孔応答挙動モデルを組み合わせて解析を行う必要がある。しかし,それには 10個以上のパラメータ設定が必要である。そこでクスノキ(Cinnamomum camphora) を対象に取得した光合成速度等データに対して,ベイズ統計に基づくマルコフ連鎖モンテカルロ法を活用したパラメータ推定手法を適用した。その結果,本手法による光合成速度と気孔応答挙動に関わる重要パラメータの推定可能性を確認することができた 。
  • 島本 由麻, 鈴木 哲也, 森井 俊広
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 127-132
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    農業廃棄物であるもみ殻は資源量が豊富であり,その有効な活用法の確立が求められている。本論では,もみ殻灰を活用したセメント改良土の緑化基盤材としての適用性を,圧縮強度試験,X 線 CT 撮影,透水試験,保水性試験から評価した結果を報告する。検討の結果,もみ殻灰置換率が 60 %のとき,ポゾラン反応の効果が最大となることが明らかになった。もみ殻灰置換率が 60 %では,空隙率,透水性の性能目標値を満たすことが明らかになった。
  • 山瀬 敬太郎, 藤堂 千景, 矢倉 資喜, 平野 恭弘
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 133-137
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    斜面地 (勾配 5~48°) における根系分布と引き抜き抵抗力を明らかにするために,コナラ 6 個体を対象に,根元半径に立木間中央距離 0.5 m を加えた距離を半径とし,深さ 1m の円柱状の土壌断面を掘削した。断面上にみられる直径 1 mm 以上の根の位置を記録するとともに (n=4,483),引き抜き抵抗力を測定した (n=640)。その結果,根直径と引き抜き抵抗力との関係は,根直径 30 mm 未満の場合と,それに 30 mm 以上の根を加えた場合との間に有意差がみられ,根直径が増加しても引き抜き抵抗力はそれほど高まらないこと,鉛直根より水平根が有意に多いことが明らかとなった。また,斜面上方と下方に伸長する根で,根直径と引き抜き抵抗力との関係に差はみられかった。一方,急傾斜に生育する個体と比較して地上部サイズが小さいにも関わらず,緩傾斜に生育する個体で,かつ下方伸長する根ほど,根直径は統計的に大きくなる傾向がみられた。
  • 島田 博匡, 野々田 稔郎
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 138-143
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    三重県中部地域のスギ,ヒノキ人工林において,過去に測定事例が少ない胸高直径 30 cm以上の大径木を含む様々な直径の立木に対して引き倒し試験を行った。スギ,ヒノキともに最大抵抗モーメントは胸高直径との間に高い相関を示した。地下部特性は,スギでは回転中心の深さ,ヒノキでは回転中心の深さと根鉢半径が最大抵抗モーメントとの相関を示した。スギとヒノキでは胸高直径と最大抵抗モーメントとの回帰式が異なり,同じ胸高直径の最大抵抗モーメントはヒノキがスギよりも大きかった。大径木の試験結果を含むデータセットより得られた本研究の回帰式から求められる最大抵抗モーメントは既存研究の回帰式から求められる数値よりも小さかった。
  • 川内谷 勇真, 宋 白楊, 中村 大, 川口 貴之, 川尻 峻三, 山下 聡
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 144-149
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,凍結融解履歴を受けた草本植物の根系を含む細粒土のせん断特性を把握しうる試験方法の確立に取り組んだ。具体的には,研究の足掛かりとしてコマツナ(Brassica rapa var. perviridis) の根系を含む供試体を作製し,凍結融解履歴を与えた後に一面せん断試験を実施した。また, X線 CTスキャンによって各試験前後における根系の状態を観察した。この結果,未凍結の供試体では低鉛直応力下において根系による増強効果が発揮され,せん断強度がわずかに増加することが確認された。一方,凍結融解履歴を与えた供試体では,凍結融解によって根系が損傷したために増強効果が発揮されず,根系の有無によるせん断強度の違いは確認されなかった。
  • 益田 光, 武井 理臣, 橘 隆一, 福永 健司
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 150-155
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    長期に低温密封貯蔵した種子は種子含水率の低下によって休眠が深くなっているため播種前に休眠打破をすることが望まれる。本研究では,落葉広葉樹 13種を用いて冷温湿層処理および暖温湿層処理と冷温湿層処理の組み合わせ処理を行い休眠打破に必要な処理期間や処理温度を調べた。冷温湿層処理に対する反応は樹種によって異なったが,概ね 3ヶ月間以上の処理期間で休眠打破された。冷温湿層処理と暖温湿層処理を施した 5種は 20.0 % 以上の最終発芽率を示さなかった。暖温湿層処理と冷温湿層処理を組み合わせると冷温湿層処理のみでは発芽しなかったマユミとガマズミが発芽したが,冷温湿層処理のみで発芽がみられた樹種の最終発芽率は低下した。
  • 永留 真雄, 小林 達明
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 156-161
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    栽培環境下においてヤマユリ幼齢個体 (J)とその直後の生育ステージである小サイズの抽出茎個体 (B1)を主対象とし,各器官への季節的な乾物分配特性を比較した。J から B1に推移する閾値は 0.666g 前後であった。茎抽出後,B1は J よりも地下部生重量当たりで多くの葉面積を持つが,同時に茎などへより高比率の資源分配が行われた。このためB1はJよりも芽吹き後から休眠期の乾物重量へ回復するまでに 8日間長い期間を要した。乾物生産の季節変化からヤマユリ群落地の維持には芽吹き時期から 5月末まで明るい林床環境が存続することが必要であることが示唆された。
  • 澤田 円, 我妻 尚広, 岡本 吉弘, 森 志郎
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 162-167
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    エゾコザクラは北海道の高山帯の雪田跡に群生するが,どの自生地でも密度が低く,北海道レッドデータブックで希少種と扱われている。生物多様性を保護するには遺伝子の多様性を把握し,それらに配慮した保全や復元が必要である。そこで,本調査ではこれまでに調査されていないエゾコザクラの自生地である羅臼湖と富良野岳で葉緑体ゲノム trn L(UAA) 3' exon - trn F(GAA) 領域と atp B rbc L 領域の遺伝変異の有無を調べた。その結果,両地域個体群を比較すると違いが見られた。しかし,各地域個体群内では遺伝変異が見られなかった。このことは各地域個体群が環境変化の影響を受けやすい状態であることを示唆した。
  • 斎藤 翔, 小林 達明, 高橋 輝昌
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 168-173
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    有機物層除去試験が行われた福島県川俣町山木屋地区の落葉広葉樹林の林床にリターバッグを設置し,2016年 5月から 10月にかけて,リターバッグを毎月採取し,逐次抽出法によって 137Cs の吸着様式の変化を調査した。その結果,リターバッグ内リターの 137Cs 濃度は増加傾向であり,不可給態は 5月には 17%であったが,10月には対照区で 76%,林床処理区で 89%に増加した。このことから,リターの分解を行う糸状菌の体内に 137Cs が吸収,蓄積され不動化している可能性が考えられた。また林床の有機物層除去は,リターバッグ内リターと土壌の混入を引き起こし,粘土鉱物による 137Cs の固定化を促進する可能性が考えられた。
  • 中村 彰宏, 守村 敦郎
    原稿種別: 論文
    2017 年43 巻1 号 p. 174-179
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    野外における効率的な植物学習と樹木管理のために,タブレット端末で動作するサクラ属のデータベースシステム (CerasusDB) のプロトタイプを開発した。都市内緑地の44種類のサクラ属の図鑑データベースと,樹木管理データベースを作成した。図鑑データベースでは,名前や開花時期等の単独キーや複数の花の形態による検索と抽出ができ,画像拡大表示などデジタル端末でのメリットを活かす機能を付けられた。管理データベースでは,個体ごとの基礎データに 2年分の開花画像を自動的に抽出と表示できる機能を付け,WebGIS による個体位置の記録と修正を従来の測量よりも効率的に実施することが確認できた。
技術報告
  • 稲垣 栄洋, 稲垣 舜也, 加藤 百合子, 河合 眞, 砂川 利広
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 183-186
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    農道法面や畦畔法面の草刈り管理に代わり,踏圧により畦畔雑草を抑制するロボットを開発する基礎として,踏圧処理が畦畔の植生に及ぼす影響について調査した。その結果,踏圧処理により,匍匐性のシロツメクサが優占する植生となり,斑点米カメムシの発生源として問題となるイネ科雑草のネズミムギが抑制された。また,その効果は週に 1度,自重 4 kgの園芸用台車を走行させるという低頻度の刺激で可能であった。
  • 小野 幸菜, 吉田 寛
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 187-190
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    長野県内の高標高風衝荒廃地において,酸性土壌対策工を併用した非面的吹付緑化工を実施した。その結果,施工 13年 2ヵ月後までに,生育基盤を帯状に吹付した緑化領域には導入したシラカンバ,ナナカマド,自然侵入したミヤマヤナギなどを主体とする落葉低木群落が形成され,緑化領域の植被率は 95 %,平均群落高は 30 cm,吹付していない自然侵入領域の植被率は 90 %,群落高は 20 cmとなり,両領域の景観的な違和感はほとんど解消された。厳しい環境条件下のため植物の成長は非常に緩慢であるが,非面的吹付緑化工区は隣接する緑化工を実施していない無施工区と比較して,植生回復が明らかに促進されていることが確かめられた。
  • 野村 太郎, 児玉 康宏, 寺本 東吾, 中島 敦司
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 191-194
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は 2016年,一部の霊場と参詣道が世界遺産に追加登録された。しかし,参詣道の周辺では,人工林の管理放棄が問題となっている。そこで,人工林の管理放棄が参詣道に与える影響を明らかにする目的で,高野山参詣道沿いの植生と参詣道の状態を調べた。参詣道沿いの植生はスギ・ヒノキ人工林が 58%を占め,参詣道の破損は主に管理放棄された人工林内で確認された。破損の状態は,斜面上部から土砂が流れ,道と斜面の区別がつかない区間や参詣道が下草で覆われる場合もあり,人工林の管理放棄は参詣道の破損の要因になると考えられた。
  • 亀井 碧, 友田 誠也, 上野山 公基, 川中 一博, 井上 裕介, 吉原 敬嗣, 湯崎 真梨子, 中島 敦司, 山田 守
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 195-198
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    地域性種苗を用いた緑化での播種量削減を目的に,2014 年,和歌山県伊都郡高野町細川における切土法面に地域性種苗 6種を 4段階の量で播種した。その結果,植被率 50 %に達するには多量区で播種後 1年 1ケ月,中量区で 2年 2ケ月が必要だった。これにより,播種後 2年間の緑化完了工事では中量以上で, 2年以降では中量程度で緑化水準を満たすと考えられた。出現種のチカラシバ,ススキは他種に比べてシカの食痕がみられず,播種区で優占し,その個体の下では草丈の小さい植物が多くみられた。これにより,チカラシバ,ススキはシカ不嗜好性を持ち,その特性が優占につながり,個体下の植物をシカから隠し,生育を補助したと考えられた。
  • 中島 敦司, 中野 慎二, Ganeindran Rainoo Raj, 水町 泰貴
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 199-202
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    棚田地形が土砂災害の被害を軽減する可能性を検討するために,2011年の台風 12号によって土石流被害が多発した和歌山県那智勝浦町にある那智川流域の谷部において,棚田を含む緩傾斜地形が土石流の捕捉に与える効果について現地調査で確認した。その結果,発生した土石流が谷底まで流下せず,途中で停止した地形の多くは棚田地形であった。その際,土石流は棚田地形の平坦面に乗り上げた状態で捕捉されていた。このことから,棚田地形が持つテラス構造は,土石流の流下速度を低下させ,土石流を捕捉し,土砂災害を軽減すると考えられた。
  • 安江 匡弘, 佐藤 厚太, 錦戸 豪, 山田 守, 塚田 篤徳
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 203-206
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    法面緑化施工地におけるニホンジカの採食被害が顕在化している岐阜県内において,植生基材吹付工と植生基材注入工の 2工法が適用された施工地を対象に約 5年間の植生モニタリングを実施した。植生基材吹付工の施工箇所では,採食による裸地化,踏み荒らしによる生育基盤材の侵食が進行していた。また,植生基材注入工の施工箇所では採食による植被率の低下が見られたものの生育基盤材の侵食までは見られなかった。これらの結果から,ニホンジカの生息域における法面緑化工は,外来草本など嗜好性植物の導入を避けること,踏み荒らしを受けても侵食されにくい工法を選定することが望ましいと考えられた。
  • 近藤 賢太朗, 内田 泰三, 田中 淳
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 207-210
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    外来植物の長期生存は,その逸出リスクを高めることになる。しかし桜島では,降灰等に伴う土壌の貧栄養化によって,導入された外来牧草類が極めて速い速度で衰退・消滅し,また,種子繁殖も抑制されていることが示唆されている。そこで筆者らは,既往の報告と同様,桜島における導入外来牧草類の変遷と種子繁殖特性について再調査した。その結果,本研究においても同様の結果が得られた。つまり,導入外来牧草類は緑化施工後 4年ほどで衰退し始め,ススキに移り変わる。さらに,導入外来牧草類は施工後 6年で完全に消滅し,出穂もほとんど確認されなかった。一方,同変遷には,土壌の貧栄養化が影響することも,本研究の栽培試験から示唆された。
  • 中村 華子
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 211-214
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    宮城県唐桑半島を事例に,景観保全が必要な地域の保全・管理はどうするべきか検討した。マツ材線虫病の被害対策として枯損木を加工したウッドチップを敷設し補植が行われているが,光環境が改善した立地には 2,3年生の健全な実生が多数成立し,天然更新の可能性もある。更新の可能性を予備的に調査し検討した。また実現可能な管理として,利用しながら合意を形成して進めるプロセス・プランニング手法の活用を提案する。
  • 白井 史昌, 清長 孝成, 池田 航助, 中島 敦司
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 215-218
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    生育環境の違いが潮上帯のハマボウ稚樹の樹形に与える影響を明らかにするため,紀伊半島に自生する稚樹の生育位置と形態について調査した。 6地点で樹高 150cm 未満のハマボウの生育位置の記録と個体数の計測を行った。この結果,成木の樹冠から離れて単独で生育する稚樹より,樹冠下の稚樹の個体数は多かった。また,4地点に生育する稚樹の樹高,地際直径,主幹の節間数の計測を行った。この結果,場所ごとに樹高成長と肥大成長は異なったが,降水量の多い太田川では,節間長と年間肥大成長量は 4地点すべての個体での傾向と同様となり,降水量以外の条件が稚樹の樹形や成長に影響を与えたものと考えられた。
  • 池田 航助, 水町 泰貴, 大南 真緒, 中島 敦司
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 219-222
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,海底地形がアマモ場の形成に与える影響を明らかにするために,紀伊半島西部南東部に分布するアマモ場を対象とし,その形成位置と海底地形の対応関係を調査した。紀伊半島におけるアマモ場は,主に波の影響が小さい入り江に形成されていたが,波の影響が大きい外海に面した地点でも岩礁などの海底地形や防波堤の裏で形成されていた。そのため,防波堤や岩礁といった障害物が波の影響を緩和し,アマモやコアマモの流出が阻害され,定着したことでアマモ場の形成につながったと考えられた。以上のことから,岩礁などの海底地形が障害物となり,波の影響を緩和したことで,アマモ場の形成に大きな影響を与えていることが示された。
  • 中嶋 佳貴, 沖 陽子
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 223-226
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    岡山大学学内水循環施設は自然環境の復元と維持管理法を研究・教育するために 2008年に造成された施設である。本施設において,造成後の裸地面を自然発生した雑草にて被覆し,刈取処理による維持管理を継続して,その動態を毎年春季に調査した。2010年 4月から植生調査を継続した結果,陽光下では,当初はイネ科中心の種組成であったが,徐々にマメ科中心の雑草植生に移行した。一方,林床下では,徐々に陽光下と異なる種組成への変化が確認された。
  • 福井 亘
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 227-230
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    発展著しい中国南部の経済特区の厦門市では,都市部での緑化が推進されている。特に,湿地を含んだ水辺環境をもつ緑化は,市内で推進されている。既存と新規の緑化について,現状が都市生態系の中の鳥相と,どの様に関わっているのかを調査した。調査は,緑化の現状を GIS化し,鳥類調査の結果から緑化空間との関わりを探った。その結果,緑化の植栽階層性があり,水辺空間の豊かな場所では鳥相も豊かになることが示され,市が推進する水辺空間が生態系に役割を示したことから,今後の中国での緑化の方向性について知見を得ることができた。
  • 山口 史絵, 福井 亘, 高岸 且
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 231-234
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    現在,都市機能を中心に集めるコンパクトシティ化が注目されている。これにより,郊外に新たな緑地空間の確保が可能となるが,中心市街地では土地利用の多様化から緑被率の減少が懸念される。本報告は,土地利用の基本的な規制である用途地域に着目して,土地利用の混合状況が緑被率にどのような状況であるのかを示すことを目的とした。衛星画像から緑被地を調査した結果,住居系と商業系,工業系を中心とする地域の間で緑被率に有意差がみられた。また,住居系を中心とする地域では,多様度指数と緑被率に負の相関がみられ,特に用途地域の規制が緩くなるほど,他の種類の用途地域が混在するほど,緑被率が減少する可能性が示された。
  • 岩崎 哲也, 手代木 純, 鳥越 昭彦, 高橋 涼, 奥原 一樹
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 235-238
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    樹木による防火効果に関する既往研究等では,樹木による市街地の延焼速度抑制に関する研究や落葉樹と常緑樹の違いが延焼速度にどのように影響を及ぼすかについて検討した資料はほとんどない。そこで樹木による延焼速度抑制効果を検証するための根拠として,常緑樹と比較した場合の落葉樹の遮熱力について数値化することを目的とした。そのため,既往研究等の資料として落葉樹の着葉期間,樹形の類型,樹冠の空隙などに関する調査や検討結果をもとに落葉樹の着葉期と落葉期のそれぞれの効果の定量化を検討した。これにより,常緑広葉樹を 1とした場合の落葉広葉樹の遮熱力≒0.66という値を得た。
  • 田崎 冬記, 渡邉 幸一, 村中 寿孝, 野口 朋毅
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 239-242
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    河川堤防等でのオオイタドリ繁茂を抑制するため,重曹,グリホサート処理の継続効果について 2カ年追跡調査を行った。その結果,処理当年は,いずれも地上茎の枯殺効果が確認されたが,処理翌年は,グリホサートがより抑制効果が高いと判断され,処理方法では,注入が最も効果的と判断された。また,重曹では,滴下の抑制効果が高いと判断された。一方,堤防舗装天端近傍でのオオイタドリ抑制のため,グリホサートの処理方法・濃度を変えた試験を実施した。その結果,処理方法では塗布より噴霧で枯死率が高く,濃度では 2%以上で枯死率が高かったことから,噴霧の 2 %以上で処理することで効果的に抑制可能と考えた。
  • 平林 聡, 阿部 勉, 今村 史子, 森岡 千恵
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 243-246
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    市街地における暑熱環境を推定する分布型 GISモデル(D-COMFA)を開発した。建物,樹木,土地被覆のポリゴンデータおよび気象台での測定データ,人体の活動,着衣量を基に,1 mグリッドにおいて,人体のエネルギー収支から,熱的快適度を推定し,街路樹による影響の解析を可能とした。ニューヨーク市での試行では,街路樹による日陰での暑熱環境軽減効果が確認された。
  • 野島 義照, 千木良 泰彦, 津久井 敦士, 益田 宗則, 武田 治夫, 木田 幸男, 藤崎 健一郎
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 247-250
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    グリーンインフラの要素技術である雨水貯留浸透基盤が設置された横浜のグランモール公園で, 2016年の夏に人力による微気象観測を行った。地表面温度と高さ 1.5 m,75 cm,10 cmでの WBGT値を測定した結果,地下に雨水貯留浸透基盤及び根系誘導耐圧基盤を設置した緑陰地の方が,設置していない緑陰地より微気象が良好であることがわかった。
  • 山田 駿介, 柴田 昌三
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 251-254
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,京都学園大学太秦キャンパスに導入された雨庭の効果を定量的に評価し日本における導入可能性を示すため,降雨量・流出量・地下水位の実測を行った。その結果,降雨強度が 30 mm/hを超える降雨に対しては急激な流出水位勾配の変化が見られたことから,この値が雨庭の浸透能の上限値であることが示唆された。また降雨流出特性の評価指標として,降雨流出の発生した 5つの降雨イベントの流出率を計算したところ,その最大値は 29.6 %であった。
  • 佐久間 護
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 255-258
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    建物の外壁壁面上に安全に木を植えると同時に,木を健全に育てる方法を見出した。固定ボード,水分保持と根張りのための不織布,断熱材,外壁面のためのガラス繊維補強セメント(GRC)の 4層からなる緑化パネルを用いた工法を開発し,安全性及び耐久性を確保するため, FEM 解析および 5年目の根系調査を行った。 FEM 解析の結果から, GRC パネル全体に設定した風荷重(300 kg/m2)が作用しても壊れない強度であることを確認した。また植栽実験では樹木が健全に生育することを確認した。本研究で成された 4層システムは,構造的な安全性と樹木の健全性に関する機能を保有していることが示唆された。
  • 大塚 芳嵩, 岩崎 寛
    原稿種別: 技術報告
    2017 年43 巻1 号 p. 259-262
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,公園の利用者を対象にオンラインアンケート調査と対面式質問用紙調査の 2種の質問用紙調査を実施し,それぞれの調査手法の特性と適性を明らかにすることを目的とした。回答者属性と公園における利用行動,主観的な健康状態を調査および比較した結果,オンラインアンケートは,全体的な傾向を把握したい場合に適正が高く,対面式質問用紙調査は,特定対象に密着した事例研究を行う場合に適正が高いと考えられた。以上の結果から,本研究は各質問用紙調査手法の特性を把握し,その長所と短所に基づいた利用方法を提示した。
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