抄録
摘要:京都市北部において 2000年代にチュウゴクザサの一斉開花・枯死が起きたが,発生した実生がニホンジカによる高い採食圧を受けることで,群落再生が阻害される可能性が指摘されていた。本研究では 2007年に開花し,継続的な採食を受け続けた群落の再生過程を追跡調査した。また防鹿柵によって実験的にシカを排除し,柵内外で実生の成長をモニタリングすることで,一斉開花後の再生過程におけるシカ採食圧の影響を明らかにした。その結果,継続的採食下では個体サイズが矮小であり,群落が衰退していたことがわかった。加えて,自然下では採食圧が大きな再生阻害要因となっており,これを排除することがササ群落の再生を促進することが示された。