2019 年 44 巻 4 号 p. 574-578
嵐山国有林の森林景観は,国の名勝に指定されている嵐山の中心的な景観構成要素である。嵐山国有林では森林の荒廃が進み,崩壊や落石が頻発している。このような現況に対し,治山事業として山腹緑化工が進められているが,嵐山の森林景観としてふさわしい樹種の選択方針が面的計画としては明確に示されていない。そこで本研究では嵐山国有林全域を緯度・経度で等間隔に設置した102か所での植生調査とGISによる地形解析を行い,嵐山にふさわしい景観を構成する樹種の立地条件を明らかにするとともに,主な視点場からの可視領域を明らかにし,5 mメッシュ毎で優先的に山腹緑化工を施工すべき場所とそこに植栽すべき主要な樹種を明らかにした。