日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
原著
低用量アスピリンおよび非ステロイド性消炎鎮痛剤による出血性胃十二指腸潰瘍の年次的推移とその予防に対する臨床医の考え方
阪口 正博高尾 美幸恩田 紗緒里築野 美保橋本 貴司飴本 完二大山 恭夫島田 守権 五規西原 政好丸山 憲太郎李 喬遠岡 博史倉本 貴典樋口 和秀蘆田 潔
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2014 年 56 巻 2 号 p. 250-259

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抄録
【背景・目的】LDA・NSAIDによる消化管粘膜傷害をどのように予防するかは一般臨床の場で重要である.その予防に対する臨床医の考え方を明らかにすることを目的に出血性胃十二指腸潰瘍の発生と対応状況を調査した.【対象・方法】2000年から2011年の12年間に経験した消化管出血症例を対象に,LDA潰瘍とNSAID潰瘍の頻度の変化を検討するとともに,LDA・NSAID投与時の胃十二指腸粘膜傷害の予防に対する臨床医の考え方をアンケート調査した.【結果】NSAID潰瘍は年次的に増加していたが,LDA潰瘍は2005年頃をピークに減少しており,最近では出血性潰瘍の4%であった.アンケート結果では,NSAID処方時の出血性潰瘍予防に用いる薬剤としては防御因子製剤が最も多く,PPIを投与する医師は27.9%であったのに対し,LDA処方時ではPPIが最も多く,PPIを処方する医師も45.3%と高率であった.【結論】LDA潰瘍に対するPPIによる予防投与は徐々に普及してきており,LDAによる出血性胃十二指腸潰瘍症例は減少していると考えられた.
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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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