日本緑化工学会誌
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論文
6年間保存したコナラ林表土の埋土種子組成
大貫 真樹子飯塚 康雄久保 満佐子 細木 大輔松江 正彦
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2019 年 45 巻 2 号 p. 293-298

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抄録

森林表土の保存期間が埋土種子組成に及ぼす影響を明らかにするため,ブルーシートで被覆した盛土に6年保存したコナラ林の表土の埋土種子組成を実生出現法により調べた。その結果,本表土の埋土種子は1 L当たり131.4個52.7種が確認され,木本のヒサカキやヌルデ,アカメガシワ,多年生草本のセイタカアワダチソウやコケオトギリ,一年生草本のハハコグサやヒナガヤツリなど,これまでコナラ林の埋土種子として一般に報告されている種が多く含まれていた。本調査で利用した表土と同様の表土を未保存および1年保存した埋土種子組成と比較すると,未保存で種子数が上位に含まれ,1年保存で種子数が大きく減少していた木本のハンノキや一年生草本のハルジオンなどが6年保存では全く確認されなかった。種によって種子の休眠年数は異なるため,これらの種は年数の経過によって発芽力を失った可能性がある。このため,6年保存の表土には一般に確認される木本の埋土種子が多く含まれるため緑化資材として利用できると判断できるが,欠落する種もあることを十分に考慮する必要がある。

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© 2019 日本緑化工学会
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