再造林放棄地(放棄後約10年経過)のシラス急斜面における植生回復状況の把握と表層土の安定性の検討を行った。再造林放棄地のシラス急斜面と同緩斜面における樹種構成には大きな違いはみられず,植生遷移の初期段階に多く出現する落葉広葉樹が多数確認された。また,急斜面の方が緩斜面に比べ,相対的に樹高の大きな個体は少なく,木本植生の胸高断面積合計は小さかった。さらに,表層土厚と斜面傾斜の関係によると,再造林放棄地の急斜面は表層崩壊可能域に含まれていた。このような急斜面では,森林根系の腐朽の進行や植生回復の遅れによる表層崩壊防止機能の低下に伴って,表層崩壊発生の危険性は高くなると予想された。