鳥取砂丘内に設けられた希少昆虫保護柵を利用して,人の踏みつけによる海浜植物への影響を解析した。設置2年目に保護柵沿いの10地点に柵内外をペアにした調査プロットを設置し,海浜植物コウボウシバの草高,葉長,健全度を調査した。その結果,柵外ではコウボウシバの草高が低く,葉長が短かった。柵外では傷を負った葉の割合が高かった。柵周辺の植物群落植被率を面的に測定し,傍らを流れる小川からの距離を水分など立地条件の指標として解析したところ,コウボウシバ群落の分布には立地条件に加えて人の踏みつけの影響が示唆された。立地条件を考慮しながら簡易なロープ柵で踏みつけを抑制することでコウボウシバ群落の維持が期待できる。