本稿では,地域性種苗を取り巻く課題を再整理し,その解決に向けての取り組み事例の概要をまとめた。その結果,種子流通,特に採種方法と種子選別,これらに関する信頼できるビジネスモデルの不在と,技術開発が進んでいないことが明らかになった。また,地域性種苗を取り扱う施工技術のコストダウンの取り組みも十分とは言えなかった。このため,本学会として取り組まなければならない課題は,1)発芽を安定化させる種子の取り扱い技術の開発,2)低密度播種工や種子付枝条播き工法など簡易播種工の開発,3)取り扱える植物種を増やす,これらの事例を積み上げることで社会信用を高めることが考えられた。種子流通のコストダウンも課題であり,4)種子採種の高精度化,5)種子生産/流通のビジネスモデル化,そのための地域協働が重要で,今後は農村社会学や地域経済学の研究との文理融合や地域との協働の必要性はさらに増すとみられた。