2023 年 49 巻 1 号 p. 139-140
寺院に多様な植物が植栽される所以は,仏教の教義の一部が植物生態や種名の由来等に喩えて説かれることに因る。そのような寺院敷地の植物は,季節を彩る景観構成要素として,また地域の緑地保全においても重要な存在である。今日では,持続的社会の実現推進から地域の自然資源を活用した課題解決手法やその価値の見える化に資する社会学的研究も求められている。本研究では,神奈川県藤沢市遊行寺を対象地に,来訪者がもつ境内植物の印象,またその保全的価値についてアンケートを行った(n=200)。結果,寺院の持つ歴史文化にならび,植物の存在が来訪契機や寺院自体の魅力向上に関与していることがわかった。