2024 年 49 巻 3 号 p. 305-308
積雪量の異なるスギの再造林地に2種類のツリーシェルターを3年間設置し,融雪後の破損と積雪深の調査による耐雪性の比較から,積雪寒冷地域における導入の難易を考察した。資材高170 cmのチューブタイプは,恒常的に160 cm前後の積雪を記録した試験地において50%が破損したため,補修作業を前提としない導入は困難と考えられた。これに対し,3年間の最大積雪深が85 cmの試験地ではまったく破損がなく,75 cmの試験地でも破損は6.7%に留まった。したがって,毎年の積雪深が80cm前後の地域であれば,チューブタイプを導入しても支障は少ないと思われた。一方,ネットタイプの破損本数は,すべての試験地でチューブタイプよりも多かったことから,積雪寒冷地域においては,チューブタイプの使用を優先的に検討するのが望ましいと考えられた。