福井県高浜町における道路事業に伴い,絶滅危惧種であるカキツバタを2地点に移植し,カキツバタの植被率,花茎数および最大草丈,移植地の照度,土壌水分および土壌pHを3年間モニタリングした。その結果,移植地1のカキツバタは移植地2のそれと比較して,植被率,花茎数および最大草丈が統計的に有意に大きかった。この原因として,移植地1の土壌水分が移植地2のそれと比較して統計的に有意に大きかったことから,本種は土壌水分が大きい環境を選好することが先行研究と同様ここでも明らかになった。移植地1および移植地2に共通する特徴として,移植2年後は,植被率の増加とともに花茎数および最大草丈が増加するのに対し,3年後は,植被率が増加するのとは対照的に,花茎数および最大草丈が減少する傾向を示した。この原因として,植被率が増加することによって,1株あたりの栄養分が減少し,花茎数および最大草丈が減少した,あるいは,移植後に繁茂したミゾソバやセイタカアワダチソウに被圧された可能性が考えられる。