2025 年 51 巻 2 号 p. 253-258
新潟県北東部の塩谷海岸及び桃崎海岸を対象に,海岸砂丘でのカワラナデシコの生育分布特性を調査・考察した。塩谷海岸では約1.96 km,桃崎海岸では約1.64 kmに渡って本種の生育が確認された。水平方向の分布限界地点における分布規定要因は,漁村特有の土地利用圧,土地改変に伴う砂丘消失,樹林化であった。砂丘上の成帯構造に対し幅5 mの測線で2.5 m毎に群落構造調査を行った結果,ハマナスがカワラナデシコの生育量の多寡と概ね同調する推移を,ハイネズが拮抗する推移を示す測線が複数認められた。そこではカワラナデシコやハマナスが優占する区画は海側に,ハイネズが優占する区画は内陸側に位置しており,ハイネズの風衝低木群落が発達することでカワラナデシコを被圧するためと考えられた。一方,ハイネズが不在あるいは群落未発達の測線の場合,砂丘前面の斜面を除きカワラナデシコやハマナスが優占する区画が広い範囲に連続していた。幅のある砂丘帯では,本種は必ずしも背後のクロマツ林との境に分布の中心を持つものではなく,成帯構造におけるやや安定した立地となる砂丘上に広く分布することが明らかにされた。