日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
Print ISSN : 0916-7439
ISSN-L : 0916-7439
土壌改良資材としてのボトムアッシュの特性
増田 拓朗奥野 羊子
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 15 巻 3 号 p. 24-30

詳細
抄録

ボトムアッシュ (石炭を燃焼させた後, 炉の中に残る灰) はこれまで廃棄物として処理されてきたが, 最近, 多孔質であること, 圧縮に対して締め固まりにくいことなど土壌改良資材としての利点を備えていることが注目されるようになってきた。本研究は, ボトムアッシュをマサ土に混入してシャリンバイの生育実験を行い, その特性を明らかにしようとしたものである。比較のために代表的な無機質土壌改良資材であるパーライトを用いた。
ボトムアッシュを土壌改良資材として使用する場合の問題点の一つとして, pH9を超える強アルカリ性であることが指摘されているが, 酸性のマサ土やピートモス (pH未調整) と混合することによって中和することができた。pF-水分特性を調べたところ, ボトムアッシュはパーライトに比べるとやや少ないものの, pF1.8~2.8のいわゆる易効水を多く含んでおり, マサ土の保水性改善に効果のあることが認められた。圧縮に対する抵抗性も強く, 締め固まり防止効果のあることが認められた。廃棄物の再利用というメリットもあり, 今後, 土壌改良資材としての利用が期待される。

著者関連情報
© 日本緑化工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top