日本緑化工学会誌
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緑化用ゼラニウムの挿し木増殖手法に関する研究
養父 志乃夫中島 敦司河村 止石川 格
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1989 年 15 巻 3 号 p. 31-38

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抄録

室温16-28℃に自動制御されたガラス室で, ゼラニウムの9品種を, 最近, 省力化育苗技術として期待されているプラグ苗生産容器において挿し木増殖させた.供試品種は, 花ゼラニウムP.hortorumの2系統5品種と, アイビーゼラニウムP.peltatumの4品種とし, 供試用土は, バーミキュライトと真珠岩パーライトM2を容積比で同量混合した用土とした.その結果, 供試9品種中7品種の発根率は, 挿し木後の経過日数が40日目において, 最高値の80%以上に達した.しかし, その後50日まで経過させても発根率は向上せず, 逆に根腐れなどを招くことが判明した.また, 花ゼラニウムの2品種を用い, 鉢上げ時期を挿し木後30日目, 40日目, 50日目と違えた場合, 生育に及ぼすその影響は供試品種間で異なったが, 挿し木後40日目に鉢上げした場合の生育は両品種において良好となった.したがって, ゼラニウムのポット苗生産上の最適鉢上げ時期は, 挿し木後40日目であることがほぼ把握された.一方, 低コスト大量生産に適した花ゼラニウムの系統は発根率, 1株当りの腋芽数の増加に優れたエキストラ系であり, レッドハートは'特に有望な品種であると考えられた.

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