日本緑化工学会誌
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大規模造成樹林地の造成手法が土壌発達に及ぼす影響 (英文)
ジョロゲ ジョン森本 幸裕
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1999 年 25 巻 3 号 p. 184-195

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抄録
万国博記念公園の建設用地に盛土した土壌について, 造成・緑化後25年と10年の土壌特性を比較した。調査地は風化花崗岩 (マサ土) または大阪層群土壌で覆われた場所から選定し, 測定は土壌深0-5, 20-25, 50-55cmで行った。
平均土壌硬度は増加しており, 大阪層群土壌はマサ土より硬化していた。気相, 細孔隙率および飽和透水係数は, 大阪層群土壌よりもマサ土で大きかった。塩基置換容量および置換性塩基は, マサ土より大阪層群土壌で相対的に高かった。全炭素, 全窒素含有量は両土壌タイプの表層で増加しており, 鉱質土層の全窒素平均増加率は, マサ土よりも大阪層群土壌で大きかった。C/N比の低下がみられ, これは有機物の循環状態が改良されたことを示している。主成分分析による土壌構造に影響する第一主成分は物理的要因であり, 第2主成分は置換性塩基であった。これはマサ土では良好な構造的性質の発達がみられ, 大阪層群土壌では土壌養分が改良されたことを反映している。大阪層群土壌の土壌は排水不良による緑化成績不良が一般に多いが, 物理的構造や表面排水の適切な改良を行うことにより, 土壌生産力が増進し荒廃地の回復につながることが示唆された。
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