日本緑化工学会誌
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松戸市「21世紀の森と広場」における植生形態の異なる緑地の土壌養分特性の比較
高橋 輝昌小出 恭子浅野 義人小林 達明
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1999 年 25 巻 3 号 p. 196-207

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抄録
樹林の形態の違いが緑地土壌の養分特性に及ぼす影響を明らかにするために, 千葉県松戸市内の総合公園内の常緑広葉樹を主とする自然林, 高木を植栽した造成緑地 (高木植栽地), 低木を密植した造成緑地 (低木密植地) において, 土壌深30cmまでの土壌の化学的性質, 有機物の分解・無機化特性を調査し, 比較した。土壌に供給される有機物量の差を反映して, 自然林の土壌中の炭素含有率, 窒素含有率, 陽イオン交換容量 (CEC) は造成緑地よりも高かった。低木密植地の交換性カリウム含有量は, 自然林や高木植栽地よりも高い傾向にあり, 植物体から溶脱されるカリウム量の差の影響を受けていると推察された。交換性塩基を生成しやすい未風化な土壌で造成されている造成緑地では, 交換性塩基含有量が自然林より多かった。高木植栽地では交換性塩基が表層土壌から下層土壌に溶脱する傾向にあり, CECを高める必要性が示唆された。造成緑地では自然林に比べて塩基飽和度が高く, pHも高かった。土壌呼吸速度や窒素無機化速度は土壌の有機物含有率を反映しておらず, 有機物の質や土壌pHの影響を受けていると考えられる。造成緑地の表層土壌のセルロース分解率は自然林と大差なかった。
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