日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
Print ISSN : 0916-7439
ISSN-L : 0916-7439
丹沢山地における周辺植生に着目した登山道の荒廃要因の分析
彦坂 洋信小林 達明浅野 義人高橋 輝昌
著者情報
キーワード: 丹沢, 登山道, 荒廃, 侵食, 裸地
ジャーナル フリー

1999 年 25 巻 3 号 p. 221-229

詳細
抄録

神奈川県の丹沢山地において, 周辺植生と登山道荒廃の程度等との関係について調査を行った。その結果, 傾斜度や登山道周辺植生の低木・草本層の違い, あるいは土性の違いによって, 侵食量・侵食幅・侵食深といった登山道荒廃の程度等に明らかな差異が認められた。特に, 草本層の植被率が低い所やイネ科の草地内など, 周辺植生の表土中に太い根が少なく, 植被率や植生高が低く人が脇にそれやすい地点では, 登山道幅の拡大が顕著にみられた。また, 登山道内の土性が, 透水性が悪く侵食されやすい壌土の地点では, 侵食深が拡大する傾向がみられた。逆に, ササ類が密に生育し, 表土中の太い根の量が多い地点では, 侵食幅の拡大はほとんどみられず, また透水性の良い砂壌土の地点では比較的侵食深の拡大は抑えられていた。

著者関連情報
© 日本緑化工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top