都市の大気環境下における樹木の生理的特徴をみるために, 落葉広葉樹のポプラ, コナラ, クヌギおよび常緑広葉樹のシラカシの4樹種を用いて, 光化学オキシダント (Ox) による光合成速度, 蒸散速度, 気孔および葉内コンダクタンスへの影響をみた。1988年4月から10月まで, 4樹種を東京都立川市に設置した浄化空気室 (FAC) と非浄化空気室 (n-FAC) 内において, 1/2, 000aワグネルポットで育成し, 光合成などを測定した。ポプラはFAC区において他の樹種に比べ, 光合成, 蒸散, 気孔コンダクタンスおよび葉内コンダクタンスが高い値を示したものの, n-FAC区でOxに暴露された光合成と葉内コンダクタンスは著しく低下した。一方, 蒸散・気孔コンダクタンスは変化せず, 高い値を維持する特徴があった。コナラとクヌギはFAC区でポプラとほぼ同様な高い光合成速度と葉内コンダクタンスを示し, 蒸散と気孔コンダクタンスは中程度のレベルであったが, Oxによって4つの値がすべて減少した。FAC区で4つの測定値がいずれも低かったシラカシは, 汚染大気によりほとんど影響されなかった。