日本緑化工学会誌
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土壌シードバンクによる低湿地植生復元に関する研究
水澤 智中本 学森本 幸裕
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1999 年 25 巻 4 号 p. 321-326

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抄録

耕作放棄水田に生育する絶滅危惧植物を中心にした低湿地植生を, 土壌シードバンクを用いてオフサイトで復元する手法について研究した。土壌播きだし後の管理を変化させる管理試験区では, 放置区, 乾燥区, 火入区, 草刈区を設置した。その結果, 2年目の種多様性は, 放置区, 乾燥区において高くなるが, 両区では侵入種も増加することがわかった。一方, 火入区, 草刈区では, 2年目の種多様性は高くならないものの, 侵入種が少なく, 今後も現地の現存種の優占する植生を維持できる可能性があった。土壌の播きだし面積を変化させる面積試験区では, 2m2の小面積区9つと18m2の大面積区1つを設置した。その結果, 小面積で多数播きだしたほうが, 種数の確保には有効であった。さらに, 現地と同程度の種数を土壌シードバンクから復元することができた。

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