1999 年 25 巻 4 号 p. 339-344
5種類の森林の表土をのり面に撒き出して, 埋土種子の発芽・生育による緑化を行い, 4年間追跡調査を行った。その結果, いずれの表土を用いても被覆率の高い緑化が可能であった。また, 成長の早い木本が生育して, 早期に低木層と草本層の2層の階層構造をもつ郷土種の植物群落が形成されることが明らかになった。さらに, 出現種には表土を採取した森林との共通種があることが確かめられた。のり面に飛来する種子の生活型別と散布型別の割合は, のり面に成立した植物群落のものと異なっており, のり面の植物群落では動物散布型の種が多く出現しているのが特徴的であった。本研究では, 埋土種子を用いてのり面を効果的に緑化できることが明らかになった。