日本緑化工学会誌
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ダム湖に設置した人工浮島に成立した植生
木部 直美百瀬 浩舟久 保敏藤原 宣夫
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1999 年 25 巻 4 号 p. 403-408

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抄録

山地のダム湖面に設置した人工浮島上の植生を4年間に渡って観察した。浮島上の植生被度は設置から3年間増加し続け, 4年目に基盤のヤシ繊維の流亡により減少した。浮島には設置時に5種類の植物が植栽されたが, それらの浮島上での成長は良くなく, むしろ周囲の環境から侵入した種が優占する傾向があった。また, 浮島の植栽は高茎湿生草原の創出を期待するものであったが, ヨシ類の生育は4年目の基盤の流亡と沈降により向上し, 特にツルヨシは沈降箇所で繁茂した。このような観察結果から, 高茎湿生草原の創出を目的としてダム湖に人工浮島を設置する場合, 基盤の設置高さ, 導入植物の栄養適性, 植栽基盤の耐久性に配慮することが必要であると考えられた。

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