中国内蒙古自治区の毛烏素沙地において, 臭柏 (Sabina vulgaris) の更新と, 更新場所の微環境に関する調査を行った。調査は立地環境を砂丘尾根部の臭柏樹冠下, 樹冠外, 砂丘低地部の臭柏樹冠下, 樹冠外, 烏柳 (Salix cheilophila) 樹冠下の5つに分類し, 行った。臭柏の実生は砂丘低地部の臭柏樹冠下と烏柳の樹冠下のみで出現した。砂丘低地部の臭柏樹冠下や烏柳樹冠下の8月下旬における気温, 地表面温度, 地下10cm温度は他の立地環境に比べて低く, 実生の定着にとって良好な環境であることが明らかとなった。また砂丘低地部の烏柳樹冠下は土壌含水率も高く, 砂丘低地部における臭柏や烏柳等の樹冠は, 砂漠の厳しい環境下において, 臭柏の実生にとって好適な微環境を作り出していると考えられた。