2001 年 27 巻 1 号 p. 373-376
国土交通省が5年に一度全国的に実施している「道路緑化樹木現況調査」の調査結果を用いて, 特に街路樹の樹種の変遷に着目して解析を行った。主要な樹種の変化を1987年から1997年までの10年間で見ると, イチョウやプラタナス類シダレヤナギなど全国的に広く用いられてきた外来の樹種の割合が減少し, ケヤキなど全国に広く自生している樹種の割合が上昇していた。また, 東日本を中心に割合が上昇している比較的寒冷な場所に生育する自生種や, 西日本を中心に増加している関東以西の暖地に自生する樹種が見られたことから, 地域的な気候の違いや周辺景観への調和に配慮して, 地域性を重視した道路緑化が徐々に進んでいると考えられた。