日本緑化工学会誌
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都市孤立林におけるアリの種数に影響する要因
由井 亜右子夏原 由博村上 健太郎森本 幸裕
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2001 年 27 巻 1 号 p. 78-83

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抄録

京都市内の孤立林38地点において, アリの分布を調査し, 種数に影響を及ぼす要因を探った。調査は単位時間採集法を用い, 1回の採集あたり250m2を15分間探索し発見したアリの種を記録した。調査回数は孤立林の面積と比例させたが, 最大で24回とした。調査努力による種の発見率の違いを考慮して, Jackknife法によって種数を推定し, 比較した。種数と相関の高い要因は微小生息場所の多様度 (r=0.667), 面積 (r=0.624), 樹木の種数 (r=0.623) であったが, いずれの要因に対しても, 実際の採集種数の方が推定種数よりも高い相関を示した。アリの種数は孤立林の面積や形状などマクロな要因と林内の管理, 微小生息場所の多様性というミクロな要因が作用しているという仮説をたて, 共分散構造モデルを検討した。その結果単独の環境要因よりも説明力の高い結果が得られた。単相関係数と共分散構造分析の結果に共通して, アリの種数には孤立林面積などのマクロな要因より, 微小生息場所の多様性がより大きな影響を与えていることが明らかになった。

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