日本緑化工学会誌
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播種工によるのり面樹林化工法の追跡調査に基づく評価
吉田 幸信内田 純二舌間 貴宏増田 拓朗橋本 和明
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2001 年 27 巻 4 号 p. 617-622

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抄録

日本道路公団四国支社では, 地球環境問題に積極的に取組んでおり, その一環として播種による切土のり面の樹林化工法について実施している。しかし, この工法は, 発芽率の低い木本植物を吹付けるため確実性がない。そこで, 樹林化の追跡調査を2年間継続するとともに, 常緑広葉樹であるネズミモチとシャリンバイの発芽実験を行うことで, 木本植物の成立に影響を及ぼす因子を整理した。2年間の追跡調査結果から, 工法の違いによって吹付ける緑化基盤材(以下, 「基盤材」という)の硬さが異なることが判明し, 基盤材の硬度が20mmを超えると, 種子が地中にない樹種の成立は劣悪であった。また, 木本植物の成立には, 基盤材の硬度だけでなく基盤材の質が関与している可能性が残っているため, 基盤材を因子とした発芽実験を行った。その結果, 5%水準で発芽に違いは見られなかった。次に, 気象条件やのり面の方位, 草本類の被圧などの関係も明らかにするため, 追跡調査結果のデータをもとにパス解析を行って因子間の関係を調べた。その結果, (1)南向きの斜面, (2)草本量(被圧), (3)基盤材の硬度の順で, 木本植物の成立に影響を及ぼすことが判明した。

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