日本統計学会誌
Online ISSN : 2189-1478
Print ISSN : 0389-5602
ISSN-L : 0389-5602
規模別所得分布の不平等尺度:展望
寺崎 康博
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 10 巻 2 号 p. 93-126

詳細
抄録
所得分布の不平等の程度を測定する尺度(関数)について,その背後に仮定されている意味をめぐって議論が交されるようになり,尺度の選択に新たな視点を提供した.その中心的考え方は(1)不平等尺度を一種の社会厚生関数と解釈する見方と, (2)尺度と伝統的なローレンツ曲線の関係を明らかにするという点にある.一方,大規模調査と電子計算機の発達により,所得の大きさだけでなく,それに付随する情報やそれと関係を持つ変数を利用して所得分布を多角的に把握するという観点からも不平等尺度が検討されるに至っている.さらに加えて,尺度の計測手続きにも新たな方法が考案さている.これらは最近の所得分布研究の隆盛を反映しているが,本稿はそれらの最近の結果を中心に,その歴史的経緯にも配慮しながら,経済分析に応用するという立場から整理することを目的としている.
著者関連情報
© 日本統計学会
次の記事
feedback
Top