日本統計学会誌
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最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
日本統計学会研究業績賞受賞者特別寄稿論文
  • 青木 敏
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 54 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2024/09/09
    公開日: 2024/09/09
    ジャーナル フリー

    性質のよい一部実施計画をどう選ぶか,という実験計画法の問題に対する,計算代数手法を利用した筆者らの結果を紹介する.提案する手法は,与えられた特徴をもつ計画について,その指示関数の係数が満たす代数方程式系を求め,その解をグレブナー基底の計算により求めるものである.この手法により,理論上は,任意のサイズの任意の直交性をもつ一部実施計画を列挙することができるが,実際の計算では問題のサイズに応じた計算量の問題が生じ,計算代数的な工夫が必要となる.

  • 丸山 祐造
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 54 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 2024/09/09
    公開日: 2024/09/09
    ジャーナル フリー

    多変量正規分布の平均ベクトルの推定問題においてミニマクスな(一般化)ベイズ推定量は,Fourdrinier et al. (1998, Annals of Statistics)の十分条件により広いクラスが得られる.そのミニマクス性の証明においては,二つの単調関数の期待値に関する相関不等式が効果的に使われている.ただし,事前分布のクラスによっては単調性が逆向きとなり,相関不等式が使えない.そのためにミニマクス性が示せる範囲が狭い.本論文では,罰則を含む逆向きの相関不等式を示し,それを用いてミニマクスな一般化ベイズ推定量のクラスを拡張する.

日本統計学会小川研究奨励賞特別寄稿論文
  • 石井 晶
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 54 巻 1 号 p. 33-53
    発行日: 2024/09/09
    公開日: 2024/09/09
    ジャーナル フリー

    本論文は,強スパイク固有値(Strongly Spiked Eigenvalue; SSE)モデルにおける高次元統計解析について紹介する.ゲノムデータのような,非スパースな高次元データに対する統計的推測について,特に高次元共分散行列の同等性検定と2次判別分析を扱う.統計的推測において,理論的な精度保証の鍵となるものは統計量の高次元漸近正規性である.しかしながら,SSEモデルに属する高次元データに対して,一般的に高次元漸近正規性は成り立たない.高次元漸近正規性に代わる統計量の漸近分布の導出や,データの扱いに対する新たな技術が必要となる.本論文は,どのように強スパイク固有値モデルへアプローチし,高い精度を保証するのか,そのアイディアと高次元統計解析の最新の展開について解説する.

  • 明石 郁哉
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 54 巻 1 号 p. 55-71
    発行日: 2024/09/09
    公開日: 2024/09/09
    ジャーナル フリー

    無限分散性・長期記憶性などの非正則性を許容した状況下で,時系列モデルの頑健な推測理論を構成する.非正則性をもつモデルでは,従来の統計量の収束レートや極限分布が未知の局外母数に依存し,漸近分布に基づく推測手法の展開は困難である.この問題に対し,自己基準化法・自己加重法などの統計量頑健化手法や,経験尤度法を適用する.そしてモデルの従属構造や高次モーメントに対する柔軟な仮定の下で,望ましい極限分布をもつ頑健な統計量を構成する.さらに変化点解析や因果性検定への応用例も紹介する.

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