東京都立川市全体の住民意識の把握を目的として, 朴・土屋(2017)は市に在住する4000人を対象に住民意識調査を実施した. この調査結果を生かして住民へ細かなサービス提供を行うためには, 立川市全体だけでなく, 小区分ごとに住民意識を把握することが重要になる. しかし, わが国の自治体レベル意識調査分析で慣習的に用いられている区分ごとの推定法のままでは, 区分の細分化によって不合理な結果を招きかねない. こうした区分細分化への対策として, 本研究では, 小地域推定に用いられているモデルに基づくアプローチの適用を図る. わが国の自治体レベル意識調査分析にこのようなアプローチを適用すること自体も筆者らの知る限り初の試みとなる. そのため, 数値実験と国勢調査小地域集計結果を利用したモデルに基づくアプローチの評価を行う. 住民の防災意識に関する3項目へのモデルに基づくアプローチの適用結果は以下のとおりである. まず, 慣習的な推定法に基づくコロプレスマップで現れていた, 隣り合った町丁目間の割合推定値に対する大きな差が縮小した. さらに, アプローチの適用によって, すべての区分の信頼区間幅が縮小することを確認した.