日本統計学会誌
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日本における所得分布の計測
寺崎 康博
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1993 年 22 巻 3 号 p. 599-612

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抄録

本稿は所得の規模別分布の計測に関する諸問題について最近の研究を中心に現状を展望することを目的とする.戦後の所得分布研究については1970年代に一度大きな関心を呼び,データの収集と評価のための方法論に進展が見られた. 1980年代に入ってからはデータの集積が高まり,所得分布の構造に関する研究も進展することとなった.所得を生み出す経済活動自体が国際化し,競争も激化しているのでますます「公正」さについての議論が内外を問わず活発になっており,新たな研究課題を提起している.ここではわが国の所得分布に関して,不平等度の計測,不平等度の長期変動とその要因,高齢者と高額所得者の分布,及び所得の再分配について主要な結果の評価を行う.特に実証的な結果に重点をおいて展望する.また,今日では国際比較という視点を欠くことはできないので,わが国で行われている研究の現状の整理も行う.

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