日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
Print ISSN : 2185-4092
総説
De Quervain 病の診断と治療
森崎 真介
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ジャーナル 認証あり

2025 年 41 巻 5 号 p. 445-449

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抄録

De Quervain 病は伸筋支帯第1 区画に生じる狭窄性腱鞘炎である.手をよく使う職業や生活習慣をもつ人に起こりやすい.30 から50 歳の女性に多いが,日常生活での手を使う動作によって生じるため,誰にでも起こりうる.組織学的研究では,ムコ多糖の沈着やIL-20 などの炎症性マーカーが病態に関連する報告もある.第1 区画には長母指外転筋腱と短母指伸筋腱が走行し,特に短母指伸筋腱の腱鞘炎が発症に関与するとの報告が多い.両腱間に隔壁を認める場合,保存療法抵抗性で手術療法が必要になる可能性が高いとされる.診断には超音波が有用で,隔壁に同定にも有用である.保存療法は手関節および母指の安静,消炎鎮痛剤,ステロイドの腱鞘内注射などがある.これらに抵抗性の場合,手術療法を検討する.腱鞘切開術の成績は良好で,除痛が得られる.手術においては,隔壁を認める症例は隔壁を切離することが重要で,橈骨神経の皮神経障害に注意する.

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