2025 年 41 巻 6 号 p. 633-638
手指腱鞘炎86 例を対象に,大豆の代謝産物であるエクオールの摂取の効果を検討した.治療方法をエクオール摂取のみ,エクオール摂取とステロイド腱鞘内注射の併用,ステロイド腱鞘内注射のみの3 群に分けた.評価方法にQuinnel 分類とHand20 を用いた.Quinnel 分類はgrade 0 となった場合,Hand20 は最終経過観察時に治療開始前と比較して20%以上低下した場合を改善ありと定義した.また,治療に影響を与える因子を検索するために,Hand20 の改善の有無を目的変数,年齢,生活習慣病の有無,Kellgren-Laurence 分類を説明変数として単変量解析,二項ロジスティック解析を行った.結果,Quinnel 分類の評価ではそれぞれ50%,54%,19%の改善率であった.また,Hand20 の評価ではそれぞれは65%,61%,43%の改善率であった.二項ロジスティック解析では,治療成績不良因子として高血圧症,脂質代謝異常が有意に抽出された.