2025 年 41 巻 6 号 p. 639-643
繰り返す筋力トレーニングによるmicro trauma が原因で生じたtrigger wrist の2 例を経験した.病理検査では腱鞘線維腫の診断であった.腱鞘線維腫は外傷などの機械的刺激により発生するとの報告があるが,本症例では明らかな外傷歴はなく,繰り返すmicro trauma が原因と考えられた.本症例のような筋力トレーニングはパワーグリップに伴う複雑な手関節の動きを要するため,屈筋腱掌側偏位による屈筋支帯との摩擦や手根管内圧の上昇が原因で腱鞘線維腫が発生したと推測する.