2025 年 41 巻 6 号 p. 661-666
外傷性上肢皮膚軟部組織欠損創に対する遊離前外側大腿皮弁の治療成績を後向きに調査した.対象は16 例17 皮弁,男性15 例,女性1 例,平均年齢46.2 歳であった.皮弁サイズは長径平均146.2mm,短径平均66.5mm であった.穿通枝は筋間型が3 本,筋内型が14 本であり,血管茎長は平均73.2mm であった.外側大腿回旋動脈下行枝がそのまま穿通枝となっていた例が2 例あった.動脈吻合法はflow through 型が12 皮弁,通常の端々吻合が3 皮弁,端側吻合が2 皮弁であった.術後1 例に阻血を生じ,創縁の抜糸で改善した.1 例に鬱血を生じ,静脈再吻合で救済した.全例で皮弁は生着した.本皮弁は長い血管茎を採取できるため,zone of injury 外での血管吻合を要する外傷例に有利な再建法である.下行枝から分岐することなく穿通枝となる例はflow through 吻合ができないため,主幹動脈温存を図る場合は,分枝への吻合か端側吻合での対応が必要である.