2025 年 41 巻 6 号 p. 726-730
手関節尺側部痛をきたす疾患の一つに豆状三角骨(PT)関節障害があり,なかでも骨折やPT 関節症などの報告は散見される.今回,両側に生じた不安定症によるPT 関節障害の稀な1 例を経験した.56 歳の女性が誘因なく両手関節掌尺側部痛を自覚し,両側豆状骨のgriding による疼痛と異常可動性を認めた.単純X 線では骨折および関節症変化などの異常はなかったが,軽度屈曲位のCT では豆状骨が亜脱臼していた.PT 関節内へのブロックテストは一時的に効果があった.全身関節弛緩の評価基準をわずかに満たしていなかったが,非外傷性の両側例であり,局所のlaxity が主体の両側PT 関節不安定症と診断した.保存治療で疼痛が軽減せず,豆状骨摘出術を順に行った.術後早期より疼痛は軽減し,原職に復帰した.手関節掌側尺側部痛をきたすPT 関節に起因するものとして,不安定症も鑑別疾患の一つである.