母指CM 関節症は,外科的治療の機会が多い手の変形性関節症である.標準的手技の一つに関節形成術があり,これは大菱形骨切除,靱帯再建,interposition の3 つを組み合わせた術式である.本稿では,代表的な靱帯再建術の治療概念と基本手技を述べ,術式の名称を改めて確認した.最も標準的な関節形成術であるligament reconstruction and tendon interposition(LRTI)は第2 中手骨基部掌側に付着部を有する橈側手根屈筋腱を用いて,第1 中手骨の背側不安定性を安定化させる目的で開発された.同様に第1 中手骨基部に付着する長母指外転筋により安定化させるsuspensionplasty も広く適応されている.開発の歴史から解剖学的な靱帯再建を目標とした手術をLRTI,また非解剖学的ではあるものの第1 中手骨の長軸安定性を主眼に第2 中手骨骨幹端遠位に靱帯再建するものをsuspensionplasty と呼称することが妥当と考えている.また現在,系統的レビューから母指CM 関節症には標準的治療はないと判断でき,さらなる研究と論文が不可欠である.文献検索などの情報収集を容易にするためにも,手技が連想できるような術式の名称と,治療効果を判定するうえでの評価方法の標準化が望まれる.